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秋季キャンプコラム

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2018.11.05
天高く虎吠ゆる安芸

秋季練習から秋季キャンプへ。矢野新体制の阪神が来季へ向けて本格始動した。張り切る若虎たちの熱気が、高知県安芸市のタイガースタウンに充満している。

猛虎唯一のサムライ

10月29日(月)甲子園に於ける秋季練習が終了した。新体制の中で首脳陣も選手もまだまだ手探り状態とは言え、秋季キャンプへの助走期間として、この一週間弱は貴重な時間となった。

打ち上げに際して矢野燿大監督は、秋季キャンプへの抱負を次のように語っている。「何て言ったらようわからへんけどな。ちょっと大人しめに言っとくほうがいいんやろうけどな(笑)。まぁこれから、またフェニックスのメンバーも帰って来るし。良い意味で新人の3人も指名したっていうのはチーム全体にも影響力を及ぼすと思うから。みんなで競争しながら、そういうキャンプになれば…」。

この日、11月9日(金)開幕の日米野球に出場する侍ジャパンの追加招集で岩貞祐太投手が選出された。指揮官は国際舞台に立つ意義を「プレッシャーもある意味そんな多くないと思うのよ。WBCとか五輪とかじゃない、良い意味の緊張感というか?アメリカの打者と対戦出来るとか、周り(日本代表選手)とかね。オレは技術より考え方とかの方が大きいと思うよ。どう投げるの?だとか、どういう風にしてんの?とかで学べることが多いと思う」と話した。

今回阪神からは唯一人の選出となった事については、次のように期待を込める。「どうなんやろ?(代表選手は)ソフトバンクとか広島とか多いの?まぁ、将来的にはどんどん(国際舞台の)そういうとこに行って。大きい枠で言うと、選ばれた中でやるのは責任も重圧もあるけど…(自身の経験上)そういうのはすごい生きているし。阪神だけとか、そういうスケールの小さい話ではなく、野球界の為にも、そういうとこにも貢献するレベルの選手になってもらいたい。(今季はファームでも)素材は結構いいと思うねん。オレも侍でコーチしたけど、一番大事なときに一番使われる選手にオレは育てたいし…」。

横浜商科大時代以来の日本代表選出となった岩貞祐太投手は、「(可能性が)ないものだと思っていたのでびっくりした。しっかり準備をしないといけない焦りもある。今季はそれに値しない成績や技術だったが、選ばれた以上は他の選手の立ち振る舞いをすべて吸収したい」と謙虚に語っている。

元気印。めっちゃ好き!

10月31日(木)伊丹から空路高知入りした阪神ナイン。高知龍馬空港では熱烈な歓迎セレモニーも行われた。チーム宿舎となる芸西村のホテルに入ってミーティングを行った後、矢野燿大監督は次のように語った。「(ナインに言ったのは)自己アピールしてくれ!みたいな話を。秋のキャンプって色んな事を変えることも出来るし、チャレンジする事も出来る。チームの事なんて、まだ考えることはない。自分がどうやったら(試合に)出られるか?自分がどうやって出るか?っていうのを考えてやってくれたらいいっていうのがまあメインかな?」。キャンプでは早出練習は継続するものの、夜間練習は行わず、選手の自主性を重んじる方針を打ち出している。

アピールの中には、大きな声を出す事なども含まれる。「もう、めっちゃ好き!それも言ったんだけど、明るく元気にやっていこう!と。そういうのも俺はすごく(評価する)。だって最後さ、どっち(を使う)かって迷ったら、元気あるヤツ使うもん!」。

11月1日(金)晴天の下、安芸市営球場で秋季キャンプがスタート。選手達が張り切って動き出した直後のベースランニングでアクシデントが起こる。谷川昌希投手が左足を痛めて早々にリタイア。左足首靭帯損傷の為、2日(土)関西へと帰還した。「秒殺やったね。1ラウンド持ってない」。それでも、矢野監督は「ぎりぎりまで追い込みながらやってもらうのは必要。怖がってブレーキをかけるよりは…」と話して、一定の理解を示している。

自主性とチャレンジ奨励

キャンプ初日から、若虎たちが躍動する。投手陣では今季台頭した才木や終盤に復活の予感を十分に漂わせた藤浪が精力的な動きを見せ、野手はフリー打撃でシーズンでは苦しんだ高山・大山らが快音連発!平日のスタンドに繰り出した500人のファンを大いに喜ばせていた。

ロングティーでも16本のサク越えを放った大山悠輔内野手は、「(レギュラー獲りへ)やるしかない!」と気持ちの良い汗を拭う。初日のブルペンでは、才木が変化球を交え53球。矢野監督から直々に「テンポ良く…ゲームでも投球間隔を短く」するようアドバイスを受けて、今オフの大きな課題の一つとして取り組む決意を示している。

「みんな良い顔で練習してたし、楽しいと言うと色んな捉え方をしてしまうかもしれないけど、充実した初日を過ごす事が出来た。(選手たちは)張り切ってる感じも出ていたし、良いキャンプにしたいと言うみんなの思いが出てるような感じに見えた」。矢野燿大監督が、初日を総括する。「本当にここにいる選手。みんな凄い可能性を持っている。何も選手を調子に乗せる為に言ってる訳じゃなくて、本当に凄いそれを感じたので。選手自身、来季が凄い楽しみだな!と思えるようなキャンプを過ごしてくれたら良いな!と思う。(選手に求める事は)新しくチャレンジして、もしそれが失敗だったとしても、それがマイナスな事は、この秋のキャンプでは無いと思うんでね。どんどん、みんなチャレンジして、自分がどうやったら成長出来るか?(というテーマを各自が設定して)やってくれたらな…と言うのは伝えている」。

生え抜きからエースと4番打者を育てる事が新指揮官の目標だが、「(エース候補は)そら、いっぱいいますけどネ。本当にみんなが凄い可能性を持ってるんでね。ボクの仕事としては、結果的にエース・4番。生え抜きを育てると言うのはあるけど…。このキャンプや現状というのは(先ずは)全員を上げる!と言うのをボクの一番目指したいところ」に置いているのである。

3日(土・祝)には、U-23野球ワールドカップ決勝でメキシコに惜しくも敗れたものの日本代表の準優勝に貢献、南米コロンビアから帰還した島田海吏外野手も合流した。新監督の下レギュラー争いもリセットされて、若虎たちのモチベーションは更に高まっている。

紙一重の勝負ではあったが、シーズンの結果は一敗地にまみれた最下位…課題満載の現状ではあるが、選手たちの可能性は無限大。来季に大きな成果をあげる為に、今はコツコツと土壌を耕し種を蒔く時である。元気を出して、自主性を尊重し、チャレンジする秋季キャンプに我々が抱く思いは、もはや期待しかない。