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Vol.2011-12 兄と同じく苦しむ弟


野原将志 選手

8月28日、プロ5年目の野原将志選手がようやく一軍昇格を果たした。昨シーズンはウエスタン・リーグで自己最高の成績を残しながらも、今シーズンは開幕から不調に喘ぎ、同学年でルーキーの荒木郁也選手や年下の森田一成選手が一軍初昇格を果たすなか、なかなか一軍から声がかからなかった。しかし、クレイグ・ブラゼル選手の故障で右の切り札的存在だった関本賢太郎選手のスタメン出場の機会も多くなったことで、手薄となった右の代打として抜擢。今シーズンのウエスタン・リーグでは打率.232、3本塁打だが、昇格直近の5試合では打率.350、1本塁打と調子が上向きだったことも昇格理由の一つだろう。9月5日時点では2試合に出場しただけで、1打数0安打。現在のチーム状況からすると、考えられる出場機会は先発が早い回に降板したときの代打や大差のついた負けゲームでの代打など、決してチャンスは多いとは言えない。しかし、結果を残せなかったとしても、『また使いたい』と一軍首脳陣に思わせるような内容を見せてほしい。それが一軍定着へのアピールとなるはずだ。

野原将選手の他、昨オフに行った椎間板ヘルニア手術の影響で出遅れていた狩野恵輔選手が今シーズン一軍初昇格を果たし、ブラゼル選手の故障で森田一成選手も再昇格を果たすなか、チャンスを生かせなかったのが新井良太選手だろう。


森田一成 選手

昨オフにトレードでタイガースに加入したばかりだが、新井貴浩選手の実弟ということもあり、他球団の選手ながらタイガースファンの中でも知名度は高く、タイガースでの初ヒットが巨人戦でのサヨナラ打ということもあって一気に存在感を高めた。しかし、一軍では6月25日を最後にそのバットから快音が聞かれなくなり、8月5日に一軍登録を抹消。兄・貴浩選手も打撃不振による七番降格や守備の不安から一塁にコンバートされるなど8月は苦しんだが、弟・良太選手もファームに降格した8月は32打数4安打、打率.125と苦しい月となった。


新井良太 選手

ようやくその打棒が爆発したのは9月4日のオリックス戦(北神戸)。二回、無死一、二塁から先制のタイムリー2ベースを放つと、七回には左中間にダメ押しとなる2ランを放ち、2安打3打点の活躍を見せた。先制タイムリーは三塁線を襲った打球をオリックスのべロスがファールになると判断。捕球寸前でスルーしたがフェアと判定されたもので、少しばかりの幸運も交じっていたが、3打席目の本塁打は真ん中から内に入ってきたスライダーを捕えた見事な一撃だった。八木裕ファーム打撃コーチは「(ライトへの大飛球となった最終打席を挙げ)最後のまっすぐに詰まっているようじゃまだまだだけど、調子を上げるにはいい一発だったんじゃない」と復調へのきっかけとなることを期待した。鳴尾浜の室内練習場で大汗を流して懸命に打ち込みを行うなど、不振からの脱出を探っていた新井良太選手。「ホームランはいい感じで打てました。この感じを続けたい。いつ呼ばれてもいいように、一日一日をしっかり頑張ってやっていきたいです」と一軍再昇格に向けて復調をアピールした。


新井良太 選手

この試合で新井良太選手を上回る活躍を見せたのが、5月に西武から加入した黒瀬春樹選手。二回に2点タイムリー2ベースを放つと、六回の二死満塁の場面では走者一掃のタイムリー3ベース。七回にもサード頭上を襲う2ベースを放ち、3安打5打点の大暴れ。イースタン・リーグでの実績もあり、タイガース加入後もファームでは一枚上の内容を見せていたものの、7月は打率.205、8月も.258と不振に陥っていた。しかし、八木裕、高橋光信の両ファーム打撃コーチによる付きっきりの指導もあり、ようやく脱出の糸口を見つけたようだ。「タイミングの取り方を変えたし、形が良くなったと思います。この形を続けてもっともっと練習したい」と今の形をモノにできるようにフォーム固めに取り組んでいる。


黒瀬春樹 選手

いよいよ9月に入り、ペナントレースも終盤に差し掛かったが、今シーズンは東日本大震災の影響で開幕が4月12日にずれ込んだこともあり、各チームともまだまだ試合数を残している。しかもタイガースは、雨天中止による未消化の試合を多く残しており、発表済みの日程では最大9連戦だが、まだ未発表のカードもあり、10月13日からの15日間で10試合を消化しなければならない過酷な日程が待ち受けている。これを乗り切るために必要なのは投打における選手層の厚さ。野手では新井良太選手、黒瀬選手の他にも林威助選手、浅井良選手、桜井広大選手といった一軍レベルの選手がファームで自分の出番を待っている。必要とされるときは必ず来るだけに、いつ一軍に呼ばれてもいいような準備を整えておいてほしい。