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春季キャンプコラム

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2020.2.12
宜野座で再び!JFK

2月7日(金)~11日(火・祝)

最初から実戦重視のキャンプは、第2クールに入って練習試合もスタート。内なる戦いの火花がますますヒートアップして来た。

彼はスーパーマン

7日(金)クール初日は、午前中のケースノックから綿密な守備のチェックが行われた。このクールから懐かしい顔が合流。藤川球児投手・久保田智之氏と共にJFKと呼ばれる強力救援陣を形成してチームの黄金時代を築いたジェフ・ウィリアムス駐米スカウトが宜野座のグラウンドに姿を見せたのだ。全体練習前、「よろしくお願いします。頑張って行きましょう」と挨拶すると、歓迎の拍手が巻き起こる。今回の来日は主として新外国人選手のサポートが目的だが、久々の再会に猛虎ナインの笑顔が弾けていた。

ブルペンでは、藤川の投球に熱視線。「彼はスーパーマンだね!本当に素晴らしい。投げ方も何もかも昔と変わっちゃいない」。不惑の歳を迎える今季もスタイルを変えずに投げ続ける元チームメイトへ最大限の賛辞を贈った。11年振りとなったキャンプ地訪問だが、「思い出や昔の事が頭に浮かんだ。立場は少し変わったけど、かつてのチームメイトと再会する事が出来て本当に良かった!」と阪神ファンにとって永遠の頼れる左腕がハンサムな笑顔を見せる。

「いや、嬉しいね。全然変わってないし、相変わらずめちゃカッコええ。(ジェフは現役の頃)チームの事を凄く考えてくれてたし、向かって行く気持ちと和の心とか、全体を鼓舞するだとか、凄い侍っぽい感じで。そういうスピリットを持ってるんちゃうかな?」。矢野燿大監督も、ウィリアムス氏の沖縄入りを熱烈に歓迎する。来日時には先輩外国人のオマリー氏やアリアス氏のサポートを受けて日本野球にアジャストする事が出来たというが、今度はその立場をウィリアムス氏自身が担う事に指揮官は大いに期待を寄せる。「(外国人選手は)違う国に来て、やっぱり言葉が通じないというストレスもあるやろうし、話を聴いてもらえたり、日本の野球を知ってたりということでアドバイスを貰える。そういう部分で来てもらうと効果というのはあると思うし。ファンの人もね、ジェフを見たら喜ぶ人も多いと思う」。宜野座を訪れるファンにとっても楽しみが倍増するであろう。

8日(土)、中日のキャンプ地・北谷公園野球場に乗り込んで、今キャンプ初めての練習試合が行われた。初回に先発・秋山拓巳投手が福田永将内野手に先制2ランを浴びるなど、序盤で4点をリードされるも中盤、 木浪聖也内野手の中堅右への3点本塁打や近本光司外野手の逆転三塁打などで中盤にひっくり返す展開。7回裏に馬場皐輔投手が一発を浴びて同点とされるが、9回表に北條史也内野手の勝ち越し本塁打が飛び出して7対6と今季初の実戦を白星で飾った。

進化するバズーカ

9日(日)、日本ハムとの練習試合は休日に加え、斎藤佑樹投手・藤浪晋太郎投手という甲子園(高校野球)の優勝投手対決とあって、多くの観衆が詰めかけた。かりゆしホテルズ・ボールパーク宜野座では普段締め切りの外野席を開放する措置を取る程の盛況ぶりとなった。

試合は、昨夏の右肘故障から約半年ぶりの実戦登板になった3番手・小野泰己投手の乱調や、植田海内野手や熊谷敬宥内野手といった内野陣の3失策もあって4対8で敗れたが、抜け球もなく最速157km/hをマークするなど変わり目を見せた先発・藤浪や、打線のキーマンとなる2番・近本光司外野手の進化した打法での初アーチなど、収獲も十分感じる事が出来る内容だった。

10日(月)、宜野座キャンプ第2クール3日目。井上一樹打撃コーチ発案の1Dayキャプテン制だが、当初は当日のキャプテンはビジター用やウル虎イエローのユニフォームを目印にしていたのを、この日から黄色と黒主体の特注ユニフォームを着用する事になった。この日は中田賢一投手と髙山俊外野手が担当。ブルペンでは、ベテラン中田が若手投手に細かくアドバイスを送る場面が印象に残る。

「何かしら自分の経験したモノが有れば、そのまま伝えて行きたいなと思ってるんで。(馬場から投球に関する悩みを相談されて)幾つかある引き出しの中で、馬場くんに合うモノが有ればと幾つか提案したんですけど」。中田が与えたアドバイスは、どんなモノだったのだろうか?馬場が次のように答える。「外に比べて(内を突く)球は弱くなるので、右打者のインコースはどういう見方で投げるのか。色んな方法があると言ってたので、『左肩を的にして投げる』とか(数ある方法の中から)自分に合ったモノをブルペンでは試して行く」。

午前中のスチール練習では、梅野隆太郎捕手の強肩が観衆の度肝を抜いた。抜群の素早い送球で走者6人の内、上本博紀内野手・島田海吏外野手・熊谷ら4人の二盗を阻止。韋駄天たちを見事に封じ込めた。『梅ちゃんバズーカ』の猛威に、藤井彰人バッテリーコーチも「(他の捕手とは)レベルが違う」と舌を巻くが、そこには梅野の飽くなき向上心に支えられた地味な努力が隠されていた。

梅野によると、素早く正確なスローイングには「どこに来ても同じような感じでポジションに入れるか」が大事とのこと。この日の個別メニューでも打撃マシンを使った捕球練習を行っているが、「特に今日は変化球をやってたけど、変化球の方が(直球と比べて)その投手の特性・間で行かないといけないから難しいので。マシンの中でそのタイミングにはどう行けばイイかとか、あとワンバンをイメージして捕る事」をテーマに取り組んでいたという。初の実戦となった翌日の練習試合(対日本ハム・名護)では、先制適時安打を放つなど貫禄の始動振りを見せる梅野。3年連続ゴールデングラブに初のベストナイン獲得という目標へ向かって、日々邁進するばかりである。

突然の訃報

11日(火・祝)、球界に大きな悲報が届いた。未明に虚血性心不全の為、名将・野村克也元監督が逝去(享年84歳)。キャンプ地・宜野座と安芸のスコアボードには半旗が掲げられ、名護で行われた日本ハムとの練習試合前には黙祷が捧げられた。当然の事だが、阪神にもノムさんと縁の深い人物が多い。

当時ミレニアムを挟んで、チームが低迷する苦しい時代に捕手として厳しく鍛えられた矢野燿大監督は、神妙な面持ちで恩師への思いを語っている。昨年甲子園で話したのが最後となった事に触れ、「(遠出するのもままならない状況で)『矢野やから会いに行く』と言って貰えてたみたいで、わざわざ来て頂いたのは凄く……感謝しかない。(自身が現役の時)3割打てたり、20年野球が出来たというのは、野村さん無しではあり得なかった。……最後は御礼しかないよね」と時々言葉を詰まらせる。

また、野村監督時代初年度のドラフト1位指名を受けた藤川球児投手は、渡米する際にも電話して挨拶をしたことなどをしみじみと振り返り、「人生に迷った時には相談させて貰った事もある。その時、奥様の方からも言葉を頂いたりした」というエピソードも交えて故人を偲んだ。

この日、名護での練習試合は5対0と日本ハムに敵地で快勝。飯田優也投手〜青柳晃洋投手〜浜地真澄投手が3回ずつを抑えて、完封リレーを演じている。3番サードで先発し、2打数2安打1盗塁と文句なしの内容を見せたキャプテン・糸原健斗内野手は、「2打席目なんかは、変化球を自分らしくヒットに出来たので良かったな」と手応えを口にした。第2クールを締めるにあたって「雰囲気はとても良い。その中で競争もあると思うので、自分自身も競争に勝ってやっていきたい」と語って強い気持ちを表した。

悲喜こもごも。さまざまな思いが交錯して中盤に差し掛かった今年のキャンプ。選手たちの疲労も今がピークかも知れない。苦しくなって来たここからが本当の正念場といえるだろう。