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春季キャンプコラム

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2020.2.21
西しかおらんやろ!

2月17日(月)〜20日(木)

2月もあっという間に後半に入った。オープン戦開幕が週末に迫り、宜野座キャンプ第4クールは正に臨戦態勢。その中で注目の開幕投手も明らかになった。シーズンを迎えるサバイバルが緊張感高まるナインの近況を追う。

マルテ『低重心打法』手応え

18日(火)第4クール初日。宜野座キャンプ初めての紅白戦が行われ、西勇輝投手が白組先発で今季実戦初登板。野手ではジェフリー・マルテ内野手と福留孝介外野手が実戦初出場となった。

西の立ち上がり。一死後2番 近本光司外野手に真っ直ぐを叩かれ 右越え先制アーチを浴びると、4番マルテにも甘いスライダーをレフト芝生席へ追い打ちの2点本塁打を被弾。試運転とは言え、予定の1イニングを3安打3失点で終えている。本人は多くを語らなかったが、金村暁投手コーチは「何も心配していない」と話し、疲労蓄積の時期でもあった事を考慮して変わらぬ信頼を口にしている。

「いやいや、開幕は西に決めてるんだけど……」。試合後、矢野燿大監督が報道陣に自ら切り出した。「(本人への通達も)前のクールには言うてるよ。西しかおらんやろ。練習姿勢とか、投手陣を引っ張ってくれると言うところ。やっぱり西の背中を追って行くと言うのが今の投手陣の理想的な部分だし、西に任せたいと思わせてくれるようなキャンプも、去年の姿も(今年のスローガンである)『It’s 勝笑 time!』を体現してくれるのは西。やっぱり、この姿を見せられるとね」。指揮官の腹は既に決まっていたのである。

女房役の梅野隆太郎捕手が、開幕戦への抱負を語る。「これからゲームがオープン戦とか色々入って来て(西とバッテリーを組む機会に)去年出来なかった事を今年はやろうという風に、ある程度の形を話し合って、まずはお互いに開幕を迎える準備をしっかりとやって行きたい」。昨季を踏まえて『負けない投手』を支えて行くという強い気持ちは、2人の信頼に裏打ちされたものだ。「去年の前半戦は手探り状態で、正直いろいろ噛み合わないところはあったけど、そういうのは信頼関係で出て来るもので、作ろうとしてもなかなか出来ない。一つのアウトを、1球でアウトを取った時の積み重ねがそういう風になってると思うので。良いスタートダッシュを切るためにも、色んな事を話し合って、少しでも力になって、自分がサポートして引っ張って行く位の気持ちでやって行きたいなと思う」。

一方、今季初実戦でいきなり豪快なアーチを放ったジェフリー・マルテ内野手は、昨季より重心を低くした打撃フォームへの手応えを口にする。「今の段階では感覚を大事にしている。狙いの一つは、低めへの対応。日本の投手は低めへのコントロールが良いから。まだ試してる段階だけど、昨季の経験を踏まえてこんな風にと。今日の感触は悪くなかったよ」。来日2年目も、サードを巡る大山との定位置争いや外国人枠の問題で厳しい立場である事に変わりない。それでも、「バッテリーの配球とか考えが(十分とは言えないまでも)ある程度慣れて来て心の準備は、昨季よりもやりやすいはずだと思う」と、その状況を楽しむ余裕すら見せていた。

超人再起へのフルメニュー

19日(水)、高知県安芸市のファームキャンプでは、埼玉西武との練習試合が行われた。阪神先発・岩田稔投手は、2回を投げて2安打無失点に抑え「悪くは無かった。順調に来ていると思う」と振り返る。プロ同士の初対外試合を経験した高校生ルーキーだが、1番セカンドで先発出場の遠藤成内野手(ドラフト4位・東海大相模高)が4打数無安打2三振。井上広大外野手(ドラフト2位・履正社高)も代打で見逃しの3球三振に倒れる中、9回裏に代打で起用された藤田健斗捕手(ドラフト5位・中京学院大中京高)が、変化球を捉えて中前安打を放った。「カタチはどうであれヒットになった」結果を前向きに受け止めている。

宜野座では、昨年10月左足首手術からの復帰を目指して一部別メニューでの調整となっていた糸井嘉男外野手が、今キャンプ初めてフルメニューを消化し「まずは試合に出られるかも知れないところまで来たので、それが一番嬉しい」と話した。次クールで予定されているオープン戦(対広島・23日 沖縄)での初実戦へ向けて青写真通りのステップを踏んでいると言えそうだ。「1番に入ったら相手も嫌だろうし(色々試して行く)その一つとして、嘉男の1番はあると思う」。矢野監督も糸井・近本の1・2番構想を否定しない。糸井の他にも木浪・糸原などトップバッター候補は多士済々。新外国人の活躍と近本が2番で機能する事が条件となるが、選手層が厚みを増して打線のバリエーションは確実に広がっている。

投打満点!胸すく快勝

20日(木)、宜野座キャンプ第4クールの締め括りは、東北楽天を迎えての練習試合(勝敗関係なく9回裏まで行う特別ルール)。相手拙守も絡んだ初回 、糸原健斗内野手の適時打など3点を奪う攻撃で阪神が先手を取る。5番レフトで先発したジェリー・サンズ外野手は、3回裏の第2打席で外角スライダーを右前へ運ぶ実戦初安打を放ち、次のように振り返った。「今は相手投手がどんな配球をして来るかを見てる段階だけど、今日は試合の中で良い内容で打席に立つ事が出来たね」。

4回裏には高山俊外野手が、外角直球を捉えてライト芝生席へ豪快に放り込む強烈アピール弾。オフから外野の一角獲りを公言して目の色を変える男の熱い思いが、観ている側にもビンビン伝わって来た。

ジャスティン・ボーア内野手も5回裏、来日初ヒットを中前に決めている。「もし2打席内容が悪ければ、3打席目が欲しいと試合前話していたので(首脳陣に)お願いして打たせてもらった。第1打席は(一ゴロだったが)走者を還して打点をあげる事が出来たし、3打席目は回の先頭打者として塁に出たいところで(単打だけど)打つ事が出来た。でも(代走を出された事は)ボクは走者として二盗三盗を決めて生還するつもりでいたから残念だよ(笑)」。実戦7打席目で生まれたヒットの感触に上機嫌で引き上げて行った。

5回表には、3人目で新外国人ジョン・エドワーズ投手が注目の来日初実戦登板。150km/h台の角度ある真っ直ぐを中心に、特徴的なジャイロスライダーなど変化球も交えて僅か8球だったが、「真っ直ぐが自然にカットボールの回転になった」と言う魔球で3人の左打者をいずれも内野ゴロに打ち取る。千葉ロッテから移籍の鈴木大地内野手には一塁線を襲う痛烈な打球を浴びたが、ボーアの美技に助けられて難を逃れた。今季は中継ぎとして『ポスト・ジョンソン』の期待がかかるエドワーズ。キャンプ後半の疲れもある中で先ずは想定通りの内容を見せて、首脳陣をホッとさせている。

続く6回表。4人目として福岡ソフトバンクから移籍のロベルト・スアレス投手が登板。いきなり150km/h超えの真っ直ぐやフォークで島内・浅村から連続三振を奪うなど1イニング打者4人を1安打無失点と貫禄を示した。「真っ直ぐをしっかりと投げ込む」事がテーマとしていた5人目・岩崎優投手も、手元で伸びる直球で三振を奪うなど1イニングを無安打無失点に封じる投球で順調振りを見せつけている。プルペン陣の充実は、今季も健在である。

試合は、原口文仁捕手の2点適時打を含む3安打の活躍などで阪神が中盤以降も得点を重ね、チーム14安打で9対1と投打が噛み合う理想的な形の快勝だ。3月20日、神宮でのシーズン開幕まで1ヶ月。オープン戦を直前に控えた矢野阪神が、実に良い感じで仕上がって来た。