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春季キャンプコラム

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2026.02.16
石井の無念、球児の涙。
2月11日(水・祝)~2月15日(日)第3クール

沖縄キャンプは中盤に入って、より実戦的なメニューが目立って来た。紅白戦・練習試合も組み込まれて、チーム内競争は熾烈を極める。大きなアクシデントもあった胸突き八丁の第3クールを振り返ろう。

初紅白で大波乱

11日(水・祝)建国記念の日。第3クール初日。宜野座・具志川合同で今キャンプ初の紅白戦(5回・特別ルール)が行われた。試合は波乱含みとなり、1回裏二死1塁紅組先発・伊藤将が白組4番佐藤の強烈な打球を左膝付近に受けてその場に倒れ込み、自力歩行が出来ないまま降板するアクシデント。3回表には白組・石井が本塁返球のカバーに動いた際、両膝を地面について異常を訴え担架で退場し、その後車椅子で球場をあとにした。左足を痛めた模様だが、WBC日本代表合宿(宮崎)参加直前の不運だった。

試合は2回表一死満塁から小野寺の先制適時内野安打や新戦力・元山の中前2点適時打などでビッグイニングを作った紅組が、4対1で勝利を飾る。3者凡退で滑り出した白組先発・能登は、2回に走者を背負うと一気に集中打を許し課題を残した。「クイックでの制球力の悪さが目立ったので、課題としても分かりやすいモノが出たと思う」。オイシックスに所属していた昨季イースタンリーグで防御率・奪三振など4冠に輝いたドラフト5位・能登嵩都投手は改善を誓っていた。

白組では2回裏今キャンプ実戦初打席の大山が、岩貞から左中間へソロ本塁打を運んだ。「準備のやり方、打席でのタイミング、打球方向、打球の上がり方、そういう部分に関しては良かったかなと思うので。このキャンプで取り組んでいる事と練習で意識してる事が出来た打席ではあった。(結果よりも)実はそれまでの内容が良かったかなと思う」。この時期は、結果よりもプロセス重視。大山悠輔内野手は、そう言いたかったようだ。

12日(木)前日の紅白戦で負傷した石井大智投手が大阪府内の病院で『左アキレス腱損傷』と診断され、WBC出場を辞退する事になった。独立リーグから這い上がり、ついに叶えた筈の檜舞台だが、思わぬアクシデントによって夢がスルリと逃げて行く。悲報を受けて藤川球児監督も思わず嗚咽。涙で数十秒間言葉を詰まらせる場面も…。「彼の人生の中で少し止まってね。さらに強くなって帰って来るというところですね」。世界大会の難しさは自身も痛感している。同じアスリートとして、右腕の無念を慮った。「選手はそれぞれギリギリのところでみんな挑戦しているという事を(ファンの方には)分かって貰えたら有難いかな」と声を搾り出していた。

この日はメイングラウンドでランダウンプレー・投内連係などが行われた。ライブBPには、新外国人ラグズデールや桐敷らが登板。203cmの長身から投げ下ろす最速152km/hの真っ直ぐが光ったカーソン・ラグズデール投手は、「しっかりと球が指から離れてくれて感覚はよかった」と振り返った。球持ちがよく打者はタイミングを取りづらいフォーム。日本のマウンドにも十分対応出来ている。現時点では評論家の評価も軒並み高く、この後の登板が益々楽しみだ。

納豆は苦手デス!

13日(金)森下・佐藤・坂本が宮崎での侍ジャパン強化合宿へ移動する一方、宜野座キャンプには髙橋・畠・大竹・湯浅・梅野・木浪が合流。今朝丸・門別・伊藤稜は具志川組に回った。長丁場の折り返しで疲労回復の狙いもあって、この日は全体メニューを短縮しての練習となっている。

ライブBPには、新外国人イーストン・ルーカス投手(前ブルージェイズ)が初登板。中川・ディベイニー・前川を相手に26球を投じた。150km/h近い速球に2種類のスライダーなど多彩な変化球を織り交ぜて、テンポよく上々の内容を見せる。「特に真っ直ぐの感触が良く、しっかりストライクも取れた。…自分の感覚だけじゃなくて、打者の反応にも手応えを感じたよ」。ハリウッド俳優のようなイケメン左腕が、終始爽やかな笑顔を浮かべながら答える。

日本に馴染もうと、食事もなるべくフォークなどは使わず箸で食べるようにしている。納豆にも挑戦したが、「味は良かったんだけど、かなり独特な臭いがするし、ちょっとネバネバ感というのはなんとも言えない感じだね」と苦笑い。昨年12月に結婚した米国にいる新妻ブルックさんと毎朝電話するのが目下の楽しみだと言う。キャンプ後に控える夫人の来日が待ち遠しい。「先発が希望だけど、中継ぎに回れと言われても大丈夫」というルーカス。猛虎の秘密兵器になりそうだ。

「イイ事だらけ」の試運転

14日(土)宜野座・具志川共に練習試合が組まれた週末。晴天の下、東北楽天を迎えた宜野座には1万2千人の観衆が詰めかけ外野エリアを開放する盛況ぶりとなった。ホームでの対外試合初戦に阪神は、先発に才木を立て伏見がマスクを被る。打線は近本・中野の1・2番、ディベイニーが3番で4番大山。ルーキー谷端は6番サードでスタメン出場だ。

1イニングのみの投球で1安打1三振1四球無失点の内容に才木浩人投手は、「とりあえず実戦、問題なく投げられたので、そこが一番良かったかなと思う。ボールの出力も出てるし、フォークの感じもすごくいい。イイ事だらけかな!という感じ」と感想を述べている。

試合は4回裏阪神が中川・中野・髙寺の適時打などで4点を先制するが、直後の5回に4人目・早川が楽天に集中打を浴び、代打・小郷の右越え逆転3点本塁打などで一挙6点を失う。このビッグイニング返しが響いて7対4と逆転負けを喫した。

早出特守で遊撃強化

15日(日)第3クール最終日。メイン球場では、ディベイニーが大山・中野と早出特守を敢行した。捕球姿勢や足の運びを確かめつつ丁寧な処理を心がける。ここまでの実戦で炙り出された課題克服に取り組む正遊撃手候補。連覇へのキーマンと目されるだけに藤川監督も練習中とその前後にも入念なアドバイスを行い、新助っ人に鋭い視線を注いでいた。

ライブBPには、髙橋が登板。濱田・熊谷・嶋村相手に31球を投げた。真っ直ぐに打者は差し込まれ気味で、先ずは順調な内容に思われたが、指揮官は「順調かどうかは、シーズンが終わってみないとわからない」と慎重だ。具志川スタートとなった今回、度重なる故障に苦しんで来た左腕は5年ぶりにキャンプ初日のブルペン入りを果たしていた。今後の進捗具合次第とはいえ、たとえ途中からでも万全な状態でローテーションの一角に食い込んでくれば、連覇の確率がぐんと跳ね上がるのは間違いあるまい。

この日は、かつて藤川・久保田と共に『JFK』という勝利の方程式を形成したジェフ・ウィリアムス駐米スカウトも宜野座に姿を現した。外国人選手の相談役としては勿論、昨年は自らの必殺技スライダーを伝授して及川が飛躍のシーズンを送る一因を作った。監督との会話も「業務連絡」だと指揮官は煙に巻いたが、もはやジェフへの信頼は揺らぎようもない。

ショッキングな出来事もあった第3クールだが、チームとして試練は乗り越えて行くしかない。キャンプは残り10日程となり、徐々に仕上げの加速度を上げる。