スローガンに込められた想い<前編>
2019年の幕が明けた。“矢野阪神”元年はいったいどんな年となるのか——。
ぶち破れ!オレがヤル
鳴尾浜で若手とともに戦っていた矢野監督は、新たなスローガンにシンプルな言葉を選んだ。この言葉を選んだ意図を新指揮官はこう口にする。
「選手はもちろん、我々のようなスタッフ、裏方さん、ファンの皆さんも含めて、みんなをひっくるめた言葉はないかと考えていた時にスッと出てきたのが『オレがヤル』という言葉でした」
迷いはなかった。なにより、監督が自分自身をも鼓舞するためにも選んだとも言える言葉のチョイスに、一軍監督という大役を担う覚悟がうかがえる。
言うまでもないが、昨年はファーム監督として役割を全うした1年だった。矢野野球のひとつのキーワードともいえる“超積極性”を武器に、1年でファーム日本一にまで押し上げ、リーグ最多記録である163盗塁を記録するなど、確実にチームを生まれ変わらせた。
「選手の可能性を僕らが止めてしまっているなと思っていたんですよ。あれやるな、これやるな、ああやったらアカン…と。僕はそこで可能性を広げるために、どんどん行ってくれと言い続けてきました」
ファーム監督として、選手たちがのびのびとプレーできる環境を整備し、結果を残した。昨年描いた、前年最下位からの優勝という軌跡は、偶然にも今年、チームが目指すべき結果と重なる部分がある。もちろん、ファームでやったことがそのままうまくいくとは思っていない。戦いの舞台が一軍へと変わったことで、矢野監督はふたつのことを想定している。
「当たり前のことかもしれないですけど、ファームは勝つことよりも育てることが第一だと思っていました。もちろん、勝ったほうがいいですよ?ただ、それが目的じゃない。だからこそ、ミスをしてでも次に繋がるように、いろいろとトライをすることに力を入れた1年でした。もちろん言うまでもなく、一軍はやっぱり勝つことが一番なので、そこの順番は違います。何を優先させるという部分は考えていかないとダメですし、ファームとまったく同じにはできないと思っています」
さらに、続ける。
「ただ、自分の軸になるコンセプトとして、昨年は“超積極的”、“あきらめない”、“誰かを喜ばせよう”という3つを言っていたんですけど、その3つの軸は何も変わらないと思っています」
“矢野色”が光るコンセプトは、上でも継承する方針だ。その方針を基に、より具体的にいまのチームに必要なのは何かと考えているのか。後半ではより深く新監督の思いに迫る。
スローガンに込められた想いショートver<前編>終了。
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