ファーム

ファームコラム

TOP > ファーム > ファームコラム

FARM JouhoukyokuCOLUMN INDEX

Vol.2010-11 復調へヒント掴んだ!…真夏の鳴尾浜・熱闘レポート

ウエスタン・リーグが熱すぎる!一軍に負けず劣らず大接戦となった今夏の覇権争い。8月8日現在、オリックス・福岡ソフトバンクに若虎を加えた3強が1ゲーム差の中にひしめくツバ競り合いは、酷暑の影響もあって沸点に達しそうな勢いだ。『燃える男』平田勝男ファーム監督も球審への熱い抗議でベンチを飛び出し、鳴尾浜がヒートアップした試合をレポートする。

8月10日(火)対中日16回戦(鳴尾浜)には、2年目の右腕・蕭一傑投手が先発した。2回表先頭4番新井に左中間へ先制アーチを許すなど5回以外は三者凡退がなく、毎回のように走者を背負う内容だった。6回(113球)7安打2奪三振4与四死球…投球数が100を越えた6回2死満塁で8番打者・捕手の田中に左前安打を許して2点の勝ち越されてしまう。


橋本良平 選手

中6日で今季5度目の先発だったが、惜しくも敗戦投手(2勝2敗)となった蕭に中西清起ファーム投手コーチは容赦なかった。「内容ない。毎回同じ。進歩がない。(ボールカウント)2-1と追い込んで0-2みたいなピッチングをしてる」と厳しく評価を下した。

現状では、三振を数多く取るようなタイプではなく、空振りをとれるウイニングショットが課題とされるが、この日直球のMAXは140㎞/h。「狙ったところがボールになって自分を苦しめた、という感じ。内容は(これまでと)変わらないと思う。打たれながら、粘り強く抑える(のが自分自身のスタイル)」。悪びれず話した蕭だが、課題はそのまま先送りとなった事は勿論心に留めている。球数が増えると球威が落ちる点など「(コーチから)進歩が見えてないと言われた。前回同様6回位にヘバってくる。体力をどうにかつけないと…。ホームランも2-1と追い込んでから打たれた。とりあえず低め低めにゴロを打たす投球を心がけたが、どうしても今回高め高めに行ってしまった。意識が足りない」と、反省することも忘れない。


上本博紀 選手

リードした橋本良平捕手はこの日の蕭について、「全部甘かった。ただ、その割に6回3失点というのは粘れていたと思う」と話した。橋本は一軍昇格した桜井に代わって4番を任されたが、中日・川井から初回ライトへ先制二塁打を放ち、ベンチの期待に応えてみせた。最近の打撃好調には「気のせいです!」と照れるが、「取った後で(すぐに)点取られたのが反省点!」…扇の要としての自覚が、そう言わせる。

ところで、橋本の母校・智弁学園和歌山高校は甲子園の常連で今年の選手権でも初戦突破を果たしたが、高校野球の季節には代表球児たちも鳴尾浜にプロの技を見にやってくる。10日の試合には、近くのグラウンドに練習に来ていた前橋商業(群馬)や広陵(広島)の関係者・ナインが見学に訪れた。


柴田講平 選手

特に広陵高校は、この日対戦した両方のチームから卒業生が出場。憧れである先輩のプレーに目を輝かせていた。その視線を意識したのか?ちょうど後輩たちが見ている時にチャンスの打席が回って来た阪神・上本、中日・新井は共に凡退。阪神の兄は広島工業だが、自分は広陵に進んだ新井は、2回にホームランを打ったからイイものの、初の一軍から降格となってこの日1番セカンドでスタメン。出直しスタートを切った上本博紀内野手は初回から川井の速球に押されて3打席連続三振(4打数0安打)と悔しい再出発となった。

「(中日サウス・ポーの)川井は何回も対戦してるのでミーティングは(いつもの内容とほぼ)同じ。ツーシームが武器なのでどう捉えていくか?だけど、自分自身の調子を上げて行かなアカン打者も何人かいる。上本もあんな調子だしね」。八木裕ファーム打撃コーチは、8安打2得点に終わった打線を冷静に分析した。


野原祐也 選手

その中でマルチ安打を記録したのは柴田、野原祐。左投手に対して、いずれも左打者が結果を残した。「スタメンだったから、思い切って行こうと(ゲームに)入りました。打撃では(3打数2安打1四球)結果が出たけど、(6回表二死満塁で左前安打から本塁返球)紙一重の守りで刺したかったです」。野原祐也外野手は、いつものスマイルを見せながらも悔しがっていた。

5月に右手有鉤骨を手術。7月19日に実戦復帰していた。夏らしく3ミリに揃えた短髪姿がいかにも野原祐らしい。左投手については、「このところ打てていなかったので、配球張ったり、色々考えて打席に入った。今日に限ってはそれが上手く行った」と話した。『虎の元気印』が全快に近づいている。


筒井和也 選手

3対2とわずかに及ばず4連敗を喫した試合だったが、終盤2回を投げて4連続三振を奪うなどピシャリと抑えた筒井和也投手に光が見えた。ストレートは最速147㎞/hと良く走り、変化球の曲がりも絶品だった。中西投手コーチは、「右打者にチェンジアップとスライダー」が有効だったと認めている。

「フォームを微調整した。ブルペンで遊び感覚で投げていたが、1球投げただけで、チェンジアップの抜けがイイと思って…。クロス気味にステップしてやってみたら体重移動もスムーズに行ったから」中西コーチに許可をもらってクロス気味に踏み出す新投法を試したところ、「打者との間の感じが良かった」との事。これまで試合毎に良い悪いを繰り返していた筒井だが、一軍復帰へ向けて大きなきっかけとなるのかもしれない。

今季は慢性的に左の中継ぎで苦しむ一軍にとっても、筒井が復調するとしたら何よりの朗報となるであろう。