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TORABAN Tantou Kisha ColumnCOLUMN INDEX

Vol.2011-9 ルーキー左腕、開幕ローテ見えた!・・・オープン戦始まる

華やいだムードの中で先陣を任されたのは、『即戦力ルーキー』だった。南国高知の抜けるような青空が球春到来!を告げていた。

2月26日(土)猛虎の今季オープン戦が開幕。キャンプ地・安芸市営(タイガース)球場に岡田オリックスを迎えて、2011年を占う最初の手合わせとなる。

その年最も期待される若手が指名を受けるオープン戦の開幕投手は、一番星ルーキー榎田大樹投手だ。宜野座キャンプ初日から首脳陣の期待通りに『即戦力』らしい投球を重ねて来た黄金の左腕が本領を発揮する。いきなり先頭打者・坂口を粘られた末のフルカウントからカットボールで空振り三振に仕留めると、ストライクが先行する本来の投球で3回(37球)を1安打3三振無四球と堂々たる内容でマウンドを降りた。


藤川球児 選手

「リズム良く投げられた。たくさん凄い打者がいたので、自分の持ち味を出す事だけを考えた」。スライダーもカットボールもスクリューボールも、どの変化球でもカウントを取る事が出来るという。緊張するはずの『プロ初先発』を満点に近い出来で役目を全うした若きサウスポーが胸を張った。開幕ローテーションを期待する真弓明信監督も、「低めに球が集まっている。キレもあるし、制球もイイ。(開幕ローテーション入りは)今日の内容であれば十分!」と絶賛した。「とてもプロに入ったばかりの投手とは・・・!」。ネット裏に集結した他球団の偵察隊が、異口同音に舌を巻く。勿論したたかな彼らの事。あくまでも、弱点などもしっかりチェックした上でのリップサービスである。しかし、その点を割り引いたとしても、対戦相手に脅威を与えるに十分な投球だった事だけは間違いあるまい。

2月25日(金)、安芸の二次キャンプを打ち上げた。これで沖縄から始まった今年のスプリング・トレーニングは全日程を終了。これからは、一ヶ月後の公式戦開幕まで、オープン戦や教育リーグなどの実戦を重ねる中での調整へと移項して行く。


和田 豊 打撃コーチ

真弓明信監督のキャンプ総括は、軽く合格ラインをクリアしていた。「沖縄~高知と天候が良くて、キャンプのメニューを全て消化出来たと言う事で非常に良かったんじゃないか。今年は投手陣が元気で、みんな良いピッチング、イイ仕上がりをしてくれたので、ずっと手応えを感じている。ここまでやれる事は全てやって来たつもりだが、もう一つ、実戦で練習した事が出てくればイイかな?」。

キャンプ全体の『MVP』を訊かれて、「投手で言えば、藤川。野手で言えば、鳥谷と・・・。非常に投手陣を引っ張ってくれる。野手陣を引っ張ってくれた二人ですからネ。(藤川は)投球内容よりも、とにかく基本的に下半身を鍛えて!って言う事で、非常に目的意識がしっかりしたキャンプだったんじゃないかな?と思う。(鳥谷に関しては)本人の調子だけじゃなくて、チームを引っ張ってくれたと言う事です」と、宜野座から変わらない評価の高さを改めて口にしている。


柴田講平 選手

主力勢が順調に調整を進める一方で、彼らを脅かす若手(特に野手)には、「キャンプ(練習の中)では力を発揮するところが出て来たが、まだ実戦ではなかなか力が出せない。ホントに若手に関しても、このオープン戦が勝負じゃないかな?そろそろ其れなりの力を出して貰わないと」いけない時期に来ている事を示唆する指揮官。和田豊打撃コーチも、キャンプ全般の印象として「若手の底上げという部分でもうちょっとネ」と不満を示していた。

そして迎えたオープン戦初戦(26日・安芸)に0対1と完封負け。オリックス投手陣(中山~西~鴨志田)からわずか4安打と精彩を欠いた打線だが、試合後ベンチに座ったまま、野手たちは割と長い時間『説教タイム』に晒された。「点を取ってないんだから、収穫はない!」と指揮官が吐き捨てる。分析してみると、全27アウトの中で13個がフライアウトと、全体に飛球の多さが目立っていた。和田豊打撃コーチは言う。「ハッキリした。ホームランバッター以外、打ち上げてしまってはノーチャンス!」。多くの打者は、転がす打球を打て!とゲキを飛ばした。

2月27日(日)、春野総合運動公園野球場に舞台を移した対オリックス2回戦。若き猛虎打線が発奮した。中でも外野の定位置争いが、白熱の度合いを増す。昨年沖縄キャンプの練習試合で死球を受け骨折する不運でチャンスを逃した柴田講平外野手が、3回主力投手の寺原から144km/hカットボール気味の速球を引っ張ってライトへクリーンヒットを放つと、ライバル達の心に点火する。途中出場した浅井良外野手が6回ヒットを打てば、センター争いの本命と目される2年目の俊介(藤川俊介)外野手は7回代打から登場して左前安打と二盗を記録。続く9回の打席でもセンターへヒットを放ち、2打数2安打とした。


俊介 選手

初戦後のカツが効いて一気に若手野手が目を醒ましたカタチで、この日は4対0と安芸の雪辱。完封返しのオープン戦初白星を飾った。快勝に指揮官の表情も緩んだ。「少し試合に慣れてきたかな?」。差し詰め若きバットマン達の活性化に内心は『よしよし、しめしめ!』と言ったところだろう。


鄭凱文 選手

完封リレーの投手陣は、鄭凱文(ジェン・カイウン)~鶴~江草~若竹~藤原。復活を目指す江草仁貴投手は別にしても、いずれも若手の有望株ばかりである。安芸キャンプから一連の流れの中で締めくくりとも言える試合に理想的な快勝!高知のお土産をたくさん抱えて猛虎ナインが帰途についた。鍛錬の2月から、仕上げの3月へ・・・真弓阪神が次のステップへと進んで行く。