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Vol.2011-4 新緑のように萌えろ!5月に躍る若虎たち


筒井和也 選手

ゴールデンウィークを終えて、翌週は本拠地・鳴尾浜で4連戦(土日の和歌山・上富田を入れると6連戦)を迎える予定だったが、火水木の対オリックスは全て中止。活きの良いファームの若虎たちもさすがに天気にはあらがえない。梅雨を先取りしたかのような悪天続きに悩まされる一週間となった。

5月10日(火)鳴尾浜で予定していたウエスタン・リーグ公式戦(対オリックス)が雨天中止となり、ファームの若虎たちは室内で練習を行った。この中には、3日後、一軍に昇格することになる岡崎太一捕手、上本博紀内野手、柴田講平外野手の姿もあった。

キャンプ直後の3月3日、教育リーグ・中日戦(ナゴヤ)に登板。左肩に違和感を訴え途中降板した筒井和也投手が2ヶ月以上を要してようやく実戦復帰する段階に入った。翌日に予定していた育成試合(11日 三田城山・対関西独立リーグ・兵庫)登板を前に意気込みを語っている。

「久々の試合なので、どこまで投げるか?不安も期待もある。投球自体もケガする前よりも調子を上げたいと思って・・・。狙ったところに行った真っ直ぐを痛打されたりしないようにしたい。(自分としては)手応えはイイ。トレーナーと一緒にメニューを組んでやって来た」。左肩の故障に関しては『ずっと付き合って行くもの』と認識している筒井だが、シーズン中でもあって、不安を「完全に取り除く事は出来ないが、それも含めて乗り越えて行けたら・・・」と考えている。

リハビリ後、4月16日ブルペン入り。5月7日にはシート打撃に登板した。故障以前には力まないと低めに行かなかった真っ直ぐが、最近では無意識に力を抜いた状態で「低めに球が集まって来ている」までに仕上がって、表情も明るい。11日の育成試合は残念ながら雨天中止となったが、代わりに甲子園室内でシート打撃に投げた。遠山獎志ファーム育成コーチは言う。「試合で結果を出して行くだけ。そういうレベルの投手」だから、送り出した後の心配は何もない。実戦復帰は17日(育成試合・鳴尾浜)に延期されたが、貴重なサウス・ポーの復活を一軍首脳も首を長くして待っているはずだ。


甲斐雄平 選手

ファームの主力野手達もマシン打撃に余念がない。プロ2年目に飛躍を期する甲斐雄平外野手は、側で八木裕ファーム打撃コーチが見つめる中で懸命に打ち込んでいた。「今は、いかにタイミングを合わせるか?(が最大のテーマ)。マシンはテンポも一緒だし合わせて当然だが、そこでもきっちり合わせられるか?」精度を高める意識を忘れない。

肩の故障で今季も春先に出遅れたが、回復後は安定した成績を残している。「バットの位置、トップをちょっと低くした」新しいフォームに取り組む毎日だ。ウエスタン・リーグ開幕直前にグリップを耳の高さからアゴ位に下げた。「フォーム自体まだ自分のものじゃないから、今はがむしゃらにやるだけ」の毎日だが、試合ではコンスタントにヒットが出ており、安定した成績を維持している。(5月15日現在 25試合 59打数 17安打 1打点 0本塁打 .288)「打率とかはあまり気にしないが、スコアリングポジション(走者が得点圏)での打率を上げて行かないと・・・何せ打点がまだ1なんでね」。


八木裕 ファーム打撃コーチ

入団時の体力測定で抜群の身体能力を示し、同じ九州出身である『新庄の再来』と期待された甲斐だが、未だ潜在能力は十分に開花していない。同期入団の俊介や柴田らライバルたちと互角に争う為にも一軍昇格の機会を一日も早く掴みたいところである。「バッティングでアピールしていかないと・・・守備は自信あるので」と、重点的に磨くポイントはハッキリ自覚している。

八木裕ファーム打撃コーチは言う。「(打撃で)一番難しいのはタイミング。その方法をアドバイスしながら、自分に合ったものを・・・(選手は探して行く)」。甲斐の打者としての特性を尋ねると、「どちらかと言うと率ではない。長打力あるので、まずはソチラ(長距離打者)を目指して欲しい。打球は力強いし、距離も出る。数少ない長距離打者」の素材と認識している。

ただ、「運動能力が高いという事は身体を動かすのが器用だから、どういう打ち方でも出来てしまう。(逆に)コレと言うのを掴みづらい!という難しさがある」。八木コーチは、ファーム指導者特有の悩みを垣間見せた。「みんなに言う事は同じだけど理解するのは選手個々で違う」。出来上がっている一軍の選手とは対照的に、若手の多くは自分のスタイルをまだ探っている段階。甲斐の場合は、「一からリズム、タイミングとか作り直しの作業」で、「本人に(一つ一つの方法が)合うか?合わないか?」細かくコミュニケーションを取り、チェックを重ねて行く為に「ちょっと時間はかかるかもしれない」と覚悟する。


甲斐雄平 選手

それだけに期待のスケールも規格外と言える若武者だが、甲斐はテレビで一軍の試合をチェックする夜のワークも怠らない。「一軍のゲームを見ると、配球とか、どう攻めるか?捕手心理も読んでいかないと・・・。バッテリー心理との勝負なので。よりハイレベルの配球」はとても参考になるらしい。日々研鑽を重ねる未完の大器が確かなモノを掴む時、猛虎に新しいスターが誕生するはずだ。