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引分け!V逸の夜
先発右腕の安定した投球をベースに終始試合を支配していた阪神だが、土壇場で守護神が打たれ、引き分けに終わった。
これまで定員の5割程度に制限していた入場者を段階的に8〜10割へ広げて、コロナウィルス感染防止の実証実験を行う横浜スタジアムでの3連戦。DeNA先発・京山に対する阪神は、サンズを外して糸井・陽川で5・6番を形成する。阪神は初回二死からマルテが右二塁打をはなち、先制機を作るが、4番 大山が中飛に倒れた。2回表も陽川のヒットなどで二死2塁とするも、7番 梅野は右飛に打ち取られて得点には至らない。
阪神は、19日以来の先発となるガンケル。DeNAはソト・オースティン・ロペスのクリーンアップに6番 宮崎の重量打線で迎え撃つ。ガンケルは立ち上がり、打たせて取る投球で1・2回を3人ずつで片付ける上々のスタートだ。
3回表 阪神は先頭・ガンケルの中前安打からニゴロで入れ替わった近本の盗塁、マルテ・四球で二死1・2塁として4番 大山が左越え適時二塁打を放ち、漸く先取点を奪った。フェンス直撃で本塁打にはならなかったが、80打点とした大山悠輔内野手が振り返る。「打ったのはスライダー。先制のチャンスだったし、初回のチャンスでは凡退していたので、走者を返すだけだった。先制する事が出来て良かった」。
序盤はガンケルの前に沈黙したDeNAだが、4回裏一死後2番 神里がチーム初安打となる右中間へ特大の3号ソロアーチを打ち込んで、追いついた。
5回表 阪神は一死から四球で出た近本のこの試合2つ目となる盗塁(近本は今季27盗塁)。糸原も四球で1・2塁として3番 マルテの左中間適時二塁打で再び勝ち越した。この後、大山・申告敬遠で一死満塁となるが、糸井・陽川が抑えられている。「打ったのはストレート。同点の場面だったし、ガンケルもすごく頑張ってくれているから走者を返したいと思っていたよ。自分の仕事ができて良かったね」。ジェフリー・マルテ内野手は、勝ち越し打に口調も滑らかだ。
その裏ガンケルは、一死から連続四球を与え1・2塁のピンチを招くが、京山の代打・細川と9番 戸柱を打ち取り、リードを守っている。DeNA京山は5回(98球)5安打2三振4四球2失点。再三のピンチだったが、よく粘ってゲームを作ったと言えるだろう。
DeNA2人目・国吉が登場した6回表 阪神は、先頭・木浪の死球にガンケル・犠打で二死2塁として、1番 近本が前進守備のレフト後方へ適時二塁打を放ち3点目を奪った。「打ったのはカットボール。点数は1点でも多い方が良いし、ガンケルもすごく頑張ってくれているので、追加点を取る事が出来て良かった」。近本光司外野手は、コメントにも気合いが入る。
7回表 DeNA3人目・武藤を攻める阪神は、大山の左越え二塁打などで一死3塁とするが、6番 陽川がチャンスで2打席連続三振を喫する。その後2四球で二死満塁としてガンケルに代打・原口を送るも、スライダーに空振り三振に倒れて追加点はならなかった。
先発ガンケルは6回(83球)1安打5三振2四球1失点と抜群の内容を見せた。「今日は内外角に直球を投げ分けることができたし、緩急を付けたピッチングも出来たから良かったね。あとはチームが勝てるようにしっかり応援するよ」。自分の仕事を全うして、ジョー・ガンケル投手は満足そうな表情を見せる。
阪神は終盤のリレーに入る。7回裏は、エドワーズが先頭・オースティンに大きな右飛こそ打たれたが、3者凡退に片付ける。8回裏には岩崎が1四球はあったものの後続を抑えてリードを保つ。ジョン・エドワーズ投手は話す。「前回の登板があまり良くなかったからその反省をうまく今日に生かす事が出来たと思う。すごく集中して投げる事が出来たし、3人で抑える事が出来て良かったよ」。岩崎 優投手も、「また次も抑えられるように頑張ります」と涼しい顔でコメントを残している。
DeNAも8回表を砂田。9回も伊勢がしっかり抑えて追加点を許さない。9回裏は、阪神の守護神・スアレスが登板。先頭・神里に中前安打を打たれ、ソト・オースティンは抑えたが、5番ロペスにレフトスタンドへ起死回生の10号同点2ランを浴びて、3対3。土壇場で追いつかれてしまった。
延長に入って10回表はDeNAのクローザー三嶋が登板する。先頭・木浪に四球を与えるも、代走・熊谷を牽制で刺して二死を取ったが、阪神は代打・小幡のヒット・盗塁。近本の左前安打などで二死満塁の勝ち越し機を作る。ここで途中出場の植田への2球目ストレートは左手に当たる押出し死球と判定されたが、DeNAからのリクエストでリプレー検証となってグリップエンドに当たったファウルと変わる。結局、植田は見逃し三振に倒れて、阪神は勝ち越す事が出来ない。その裏は岩貞が3人で抑えて、3対3の引き分けとなった。
中日が敗れ、阪神が引分けた為、東京ドームで戦う巨人はヤクルト戦の10回表を抑え、引分け以上が確定した瞬間にセ・リーグ2連覇が決まった(結果は巨人3-3東京ヤクルト)。阪神・近本は1試合3盗塁で28盗塁として、2年連続盗塁王へ前進している。
終始試合を優位に進めていただけに、阪神には敗戦に近い引分けと言えるかもしれない。やはり、15残塁と追加点機にあと一押しが出来ない場面が多く課題が残った。それでも、やはり、4連勝と波に乗るDeNA打線を3安打と本塁打2本の失点だけに留めた猛虎投手陣は、讃えなくてはなるまい。また、この日は記録に残るエラーは無かったものの、併殺が取れるプレーで取れない場面や大事な走者を牽制で誘い出されるなど、攻守両面で手痛いミスもあった。こうした拙いプレーの積み重ねが優勝チームとの差として表れたと思われる。V逸の悔しさを真摯に受け止めて、捲土重来を期してほしい。