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糸井の一打が炸裂し宿敵を突き放す

本物のアーチストだけに許された至福のひとときを主将兼主砲は心ゆくまで味わったに違いない。

両チーム無得点の3回2死、大山が初球を振り抜くと完璧に捉えた打球はレフトスタンド上部の看板を直撃した。

「甘く来たボールを一発で仕留めることができました。ガンケルに先制点をあげたかったので、打つことができてよかったです」

滞空時間、飛距離そして手応えも文句なしの特大弾で先制に成功した。

5回にはベテランも燃えた。上位打線が3つの四球を選び2死満塁とすると糸井の放った鋭い打球が一塁線を破る。「爪痕残したろ。絶対勝つ!!!」との魂が乗り移った打球がフェンス際に達する間に走者は次々と生還を果たす。3点適時2塁打で巨人を大きく突き放した。今季は限られた出場の機会の中でも準備を怠らず、第1打席ではライトポール際にあわや本塁打という当たりを放っていた。超人ぶりはまだまだ健在だ。

先発のガンケルもストライク先行のリズムの良い投球で5回まで64球で無失点。6回に一発を浴びたものの「低めにボールを集めてゴロを打たせることができたよ。ゴロアウトから守備のリズムを作ることができたのが良かった。オオヤマのホームランとイトイのタイムリーツーベースは本当に大きかったよ」と試合を作った。

1本の安打、1つのアウトの重みが増す終盤のイニングは7回を及川が三者凡退。8回は岩崎が追い上げを許すも何とか踏ん張りリードを保つ。9回は守護神・スアレスが連続三振で2死を奪う。決め球はどちらも158km/hの豪速球。最後も157km/hのストレートで力のないファールフライに打ち取り、激戦続きだった3連戦を締めくくった。

巨人は先発マウンドに中4日で山口を送り、5回までにリリーフを2枚つぎ込む。ビハインドの終盤にはビエイラ、中川を投入した。この一戦が重要なことは相手も同じ。総力戦を仕掛けてきたが総合力で上回った。宿敵との直接対決で2勝1分の好成績を収めた矢野監督は「苦しい状況なんですけど、その中でもみんな強気で攻める気持ちを持ってチャレンジャー精神で向かっていってくれた結果かなと思います」来週は甲子園に戻っての6連戦。結束力を増したナインが本拠地で大暴れしてくれるだろう。