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サンズ降臨!救世主現る
オーダーも一新して最初から積極的に攻め込んで行った阪神だが、敗色濃厚な土壇場で新外国人が起死回生の来日初アーチを放ち、劇的な逆転勝利を飾った。
サンズが合流した阪神は、DeNA先発・新外国人右腕のピープルズに対して近本・糸原・糸井の上位3人の後、マルテ・ボーア・サンズと助っ人勢をズラリと並べる重量打線を組む。初回一死から糸原・糸井の連打に糸井・盗塁で一死2・3塁とチャンスを作る。ここで4番マルテが右犠飛を上げて先制。ボーアもサード右を鋭く破る左前適時安打で続いて、阪神が幸先よく2点を取った。
先制犠飛のジェフリー・マルテ内野手が振り返る。「なかなか点が取れていなかったし、良い流れで自分のところに回ってきたから絶対に走者を還したかった。最低限の仕事は出来たと思うよ」。来日初打点のジャスティン・ボーア内野手も、「打ったのはチェンジアップ。みんなが良い形で繋いでくれたし、マルテも流れを作ってくれたから、その流れに乗る事が出来て良かったよ」と笑顔で話した。ボーアは適時打の後 来日初盗塁も決めている。
阪神先発は、前回同様 原口とバッテリーを組む左腕・岩貞。初回先頭・梶谷の飛球を近本が薄暮で見失い中越え二塁打とされると2番ソトに右中間適時二塁打を浴びて1点。オースティン中飛で三進したソトを4番 佐野が適時二塁打をレフト線ギリギリに落として、あっさり追いつかれてしまう。
2回表 阪神は木浪の左中間二塁打と近本・死球で二死1・3塁と攻めるも2番 糸原は二ゴロに倒れた。ピープルズは、この後立ち直り、3・4回を抑える。
岩貞もその後 持ち直していたが、4回裏 宮崎・大和のヒットで二死1・2塁とピンチを背負い、1番 梶谷に変化球を打たれての中前適時安打。DeNAに勝ち越しを許した。直後の攻撃で代打が出た為、岩貞はこの回で降板となっている。
「先制点を取ってもらったにも関わらず、先頭打者を出す場面も多く、投球のリズムが悪くなってしまった」。4回(73球)7安打2三振1四球3失点。本来なら長いイニングを任されなければならない役割だけに、その役割を果たせなかった事を岩貞祐太投手は悔やんでいた。
5回表 阪神は岩貞の代打・髙山が死球。犠打で一死2塁として、2番 糸原の粘った末の左前適時安打で、すぐに追いつく。続く糸井はセンター右へ勝ち越しの1号2点本塁打を放り込んだ。更にマルテ・右越え三塁打の後、DeNAベンチはボーアを申告敬遠。サンズ・空振り三振、木浪も二ゴロに倒れ、追加点とはならない。
「打ったのはストレート。同点に追いつきたい場面だったので、追い込まれていたけど、何とかしたいという気持ちだけ」で、糸原健斗内野手は執念で打球を運んだ。今季初アーチの糸井嘉男外野手は、「絶対勝つ!」と気合いの一言である。
リードした阪神は、継投に入る。2人目・能見が登板した5回裏 DeNAは、先頭オースティンが左二塁打。宮崎・二ゴロで走者を進め、5番ロペス・三ゴロの間に1点差に詰め寄った。
6回表に原口・ヒットで出した無死の走者を代打・梅野が送れず捕ゴロ併殺でチャンスを潰した阪神に対し、その裏DeNAは、先頭・出塁の乙坂を大和が犠打できっちり進めて好機を演出する。阪神は3人目・谷川から岩崎にスイッチするも、岩崎は梶谷・ソトといずれも追い込みながら死球・四球。二死満塁として、3番オースティンの左前2点適時安打を呼び込んでしまった。
得意な筈の継投が嵌らず、6対5とまたしてもDeNAにリードを許した阪神だが、ビハインドとなっても矢野監督は、7回裏途中から勝ちパターンのスアレスを投入して士気を鼓舞する。
8回表 先頭ボーアは、ロングリリーフを務めるDeNA2人目・国吉からレフトオーバーの単打で出塁。この後、二死3塁となって阪神ベンチは切り札・福留を代打で起用する。福留は追い込まれながらも、粘って四球を選んだ。途中出場の梅野も四球を選び二死満塁。1番 近本のところでDeNAはサウスポー石田へと繋ぐ。息詰まる勝負となったが、カウント2-2から変化球を打上げた近本の打球は右飛に終わり、阪神は得点する事が出来なかった。
それでも、その裏 阪神6人目に登板した一軍昇格したばかりの伊藤和が、気合いの入った投球で2者連続三振を奪うなどピシャリと締めて、ベンチを盛り上げる。
9回表 DeNAは絶対的守護神・山崎康が登板。糸原・糸井が倒れ二死となるも、マルテはフルカウントからよく選んで四球で出塁。代走・植田と代打・大山に望みを繋ぐ阪神。植田は、山崎が滅多にやらない牽制球を投げさせた後、果敢に盗塁を試み、相手のリクエストもあったが、見事に成功。大山も歩いて二死1・2塁となり、来日初出場の6番サンズに回って来た。気合いを込める山崎だが、カウント2-1からのツーシームを捉えたサンズの打球が、レフトスタンドまで届く。来日5打席目の初安打は、あまりにも劇的な逆転1号3ランとなって、土壇場で阪神が8対6と3度目のリードを奪った。
しかし、野球はわからない。その裏 阪神守護神・藤川は、ソト・四球とオースティンの左前安打で無死1・2塁とピンチを招く。佐野・中飛、柴田は空振り三振で二死となるが、絶好調の6番 宮崎にはフォークが抜けて死球を与えてしまう。二死満塁と絶体絶命の場面。代打・楠本は2ボールから左飛に倒れ、4時間に及ぶ試合が漸く終わった。
デーゲームで巨人が敗れ、DeNAが勝てば単独首位に立っていたが、6連勝寸前で白星が逃げた。それでも、再三に渡って阪神投手陣を脅かした好調な攻撃陣は、相手にとっては厄介である。
阪神は今季最長4連敗を覚悟する展開だったが、執念でひっくり返した価値ある1勝となった。勝ち投手は、今季初登板で流れを変えた伊藤和雄投手だ。「自分のボールをしっかり投げ込む事が出来た。これを続けていくことが大事だと思うので、与えてもらった場面でしっかり腕を振っていきたい」と殊勝に話している。プロ9年目・30歳で掴んだ一軍初勝利となった。
「ファームでやってたカズオがね!(自分が監督の時、抑えをやっていた)今日のカズオの1勝も、オレにとって忘れられない1勝になったんで」。矢野燿大監督は、感慨深そうに伊藤和の初白星を喜ぶ。たくさんのポイントがあった試合だが、「忘れちゃイカンのは、カイ(代走・植田)の盗塁。あそこで行けるのは、カイの凄さやし。あの1つの盗塁は(スポーツ紙の)1面でも良い位の」価値ある走塁だと、特に植田の足を絶賛していた。
勿論まだまだ課題は多く、これで全てめでたし!とはいかない。それでも、指揮官は「ちょっと兆しと言うか、先の見えそうな1勝になったので、何とか明日に繋げたいと思う」と話した。苦しい状況の中で見えた光明が、ますます大きくなって行く事を期待したい。