自分に求められていること<前編>
彼が縦縞のユニフォームに袖を通すことを決めたのは、ちょうど昨年の今頃のこと。「球場に来てくれる方とともに、一緒に頑張りたいと思っています」。熱烈なタイガースファンとともに戦うことを選んだ男の、1年目の戦いが終わった。
プロ11年目。確かな実績を積み上げて、決断しての移籍だった。同じ関西圏の球団からの移籍とはいえ、リーグを跨いでの“挑戦”だ。一般的に考えれば、環境が変わって過ごしたこの1年はさぞかし苦労も多かったと思うだろう。ただ、彼は違った。当人は、まるでマウンド上でのたたずまいと同じように、冷静に、かつ淡々とこの1年間を振り返る。
「あっという間という感じもなかったですし、普通に、平然と過ごせましたね。環境は変わりましたけど、やることは変わらないですし、取り組むべき練習や、自分が普段からやらなくてはいけないことは変わらないですから。リーグは変わりましたけど、もう11年やっていますから。特になにかを変えるようなことはなかったです」
移籍しても、自分を変えなかった。「変えずにやることが大事だと思っていた」とまで話すほどに、自分のスタイルを決して崩さずに勝負した。移籍1年目はつまずく選手も少なくない中で、自身2年連続6度目となる二桁勝利をマーク。防御率は自身4年ぶりとなる2点台を保ち、自己最多となる172回と3分の1を投げた。勝利数、防御率(規定投球回到達者)、投球回は、いずれもチームトップの数字だ。移籍前のイメージと変わらぬ、安定感を示してくれた、頼もしさを感じる1年だった。
自分に求められていることショートver<前編>終了。
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