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『163km/h』連発に降参

規格外の剛速球に打線が圧倒された阪神が、日本ハムの本塁打攻勢に沈んだ。

北海道日本ハム 先発・大谷に対する阪神は鳥谷・西岡の1・2番、ゴメス・福留・原口でクリーンアップを組む現状のベストオーダーで臨む。大谷は鳥谷への初球から160km/hを投げ、西岡の3・4球目、ゴメスの初球に日本記録である自己最速タイ163km/hを計測するなど160km/h台を連発し、3者連続空振り三振という圧巻のスタートを切った。

大谷翔平投手は言う。「初回から全力で行こうと思ったので・・・」。3回表にも8番 梅野へ163km/hの速球を投げ込むなど、最初から飛ばす剛腕の前にヒットを打てる雰囲気さえない序盤。一回り目は梅野の四球が唯一の出塁だった。

阪神先発・岩崎は、いきなり1番 陽に低め直球をセンター左へ初回先頭打者本塁打の6号ソロを放り込まれる。3回裏には二死から陽・左前安打の後、2番 西川に直球を狙い打たれてライトスタンドへ5号2ランを浴びて3対0となった。

4回表 阪神は先頭1番 鳥谷が変化球を上手く掬ってライト前にチーム初安打を放つが、西岡は変化球に空振り三振、ゴメスが遊ゴロ併殺に倒れて得点には至らない。

その裏  岩崎は6番レアードにも真っ直ぐを鮮やかに捉えられてレフトスタンドへ 20号2ランを運ばれ、5対0と更に点差を広げられてしまう。

岩崎は6回( 104球)まで投げて、6安打 7三振 1四死球 5失点。「ボール一つ一つは悪くない。(問題は)インコースの使い方。甘くなると痛打されるから、そこを考えて投げないと・・」。香田勲男投手コーチは、左腕に注文をつけた。

5回表 阪神は先頭4番 福留が上手い逆方向への左二塁打でチャンスを作るも、6番 高山は163km/hの直球攻めの後  変化球に翻弄されて空振り三振に倒れるなど後続が封じられて得点が入らない。
6回には梅野の中前安打と鳥谷・四球などで二死2・3塁と攻めたが、3番ゴメスが放った右中間の打球もライト杉谷の好捕に阻まれる。

大谷は7回(107 球)を投げて 3安打 8三振 2四球 無失点。160km/h台の速球を何度も記録する規格外の投球で阪神ファンにも衝撃を与えた。「まだまだ力の無さを感じた。練習しないと・・・もっともっとレベルアップしたい」。大谷の前に3打席3三振と全く歯が立たなかった高山 俊外野手は、このように語っている。

7回裏には阪神2人目・伊藤和が登板するが、鳥谷の失策もあって1点を失う。この回から西岡がレフトを守り、8回にはセンターへ回っている。失点した伊藤和だが、ピンチで4番 中田をフォークで空振り三振に仕留めるなど2イニングを投げて自責0の投球は収穫だった。

試合は6対0で日本ハムが完勝。今季3度目の完封負けを喫した阪神は、北の大地でも負け越し交流戦の遠征を全て終えた。

日本最速右腕に完敗して片岡篤史打撃コーチは、次のように語り唇を噛む。「(大谷は)直球もフォークも良かった。中盤以降は、追い込まれてから変化球でやられた。この悔しさを忘れずに練習しないと・・」。
         
「(大谷攻略へ各打者は工夫を)それなりにやってたんじゃない?なかなか163キロは打てないよ。フォークもあった訳だし」。金本知憲監督も相手の右腕に脱帽だった。「(岩崎はもっと)低いところから浮き上がる直球を投げないと。(これまでは)ベルトより上の球で抑えていた。(今日)打たれたのはベルトより下。意識してやらないとね」。

西岡の外野起用については、「江越も横田もアレ(今一つ?)だし、外野が手薄。(西岡はセカンドからの)サイドスローがきついみたいや。本人がやりたいと言うから」と説明した指揮官。高代延博ヘッドコーチも「(西岡の外野起用は)今日だけじゃない」と含みを持たせる。西岡 剛内野手本人は敗戦の悔しさに顔を歪めながらも、「(試合に)出られるチャンスがあれば!」貪欲にアピールを続ける意向だ。完膚なきまでにやられたが、チームに新たな可能性が芽生えた試合でもあった。