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ロサリオ決勝弾! 執念の白星

フラストレーションが溜まる展開から粘り強く追い上げ延長戦に持ち込んだ阪神が、主砲の一発で死闘にケリをつけた。

広島は20日ぶり先発の薮田。初回 阪神は鳥谷・植田が連続四球で歩き無死1・2塁とするが、糸井の右飛でタッチアップから3塁を狙った鳥谷が刺され、リクエストによるリプレー検証でも判定は変わらず併殺となって先制機を逃した。2回表も糸原のチーム初安打などで一死1・2塁となるも8番に入った高山が二ゴロ併殺打に倒れる。3回も一死から鳥谷・植田が連続四球で出塁したが、糸井は二ゴロ併殺。序盤のチャンスを悉く併殺で潰している。

今季2度目スタメンマスクを被る原口と組む阪神先発左腕・岩貞に対して、不動の3番 丸を欠く広島はバティスタ・鈴木・エルドレッドでクリーンアップを組んで臨む。立ち上がり、岩貞も先頭・田中に四球を与え 一死後 牽制で誘い出すも3・4番の連打で再びピンチを招くが、何とか無失点で切り抜けた。広島戦は過去14戦9敗と白星のない左腕は、2回裏 高橋大のプロ初安打と會澤・左二塁打などで二死満塁とされ、2番 菊池にフルカウントから押し出し四球を与え先取点を奪われる。岩貞も薮田と同じく制球に苦労するも、序盤は何とか最少失点で滑り出した。

3回裏には一死後エルドレッドの一邪飛をロサリオが落球した後、左二塁打を許す場面があった。初回にも鈴木の打球(ファール)を見失ったロサリオだが、デーゲーム晴天時の見難さや強い風という条件も重なり前日(ファールフライを捕れず、直後にバティスタの決勝本塁打)からの悪い流れが心理的にも影響を与えている感じがする。

薮田は4回こそ三者凡退に抑えるが、5回表 鳥谷に3打席連続四球を与え二死1・2塁となると勝利投手の権利取得寸前で広島・緒方監督は非情の交代を断行。代わったアドゥワが植田を歩かせ二死満塁となるが、阪神は3番 糸井が一ゴロに倒れて、またしても貰った好機に一本が出ない。

するとその裏、無死1塁でバティスタの遊ゴロを植田が弾く失策があり1・3塁となって、4番 鈴木・三ゴロ(糸原好守)の間に追加点を失う。それでも、チームの悪い流れの中で、岩貞はしっかりと腕を振り、6回(117球)を投げて7安打4三振3四球2失点(自責1)。「今日の投球は事前に原口と話したことが出来たと思う。序盤ピンチもあって球数が多くなってしまったけど、原口の配球に引っ張ってもらいながら何とか粘りの投球をすることが出来た」。岩貞祐太投手が、粘って試合を作った事は高く評価したい。

阪神は、6回表一死から福留が右中間三塁打を放って激走を見せる。原口はアドゥワのチェンジアップで空振り三振と倒れたが、7番 糸原が高いバウンドの二塁適時内野安打。漸く執念で1点をもぎ取る。広島が今村を立て必勝リレーに入った7回表には、植田が二死から快足を飛ばしバントヒットで出塁。すかさず盗塁を決めて、3番糸井の右前適時安打で同点のホームを踏んだ。糸井嘉男外野手は、「打ったのはフォーク。少しタイミングを外されたけど良い所に飛んでくれた。(植田)海くんが盗塁でチャンスを作ってくれたおかげで同点タイムリーになった」と振り返っている。

その裏 2人目・モレノが一死後 田中を四球を与えると、阪神ベンチはリリーフ捕手に梅野を送る。二死から田中は盗塁を試みるが、梅野が強肩でこれを阻止した。8回裏 3人目・桑原は先頭バティスタに左中間二塁打を浴びてピンチを迎えるも、後続を何とか抑える。9回裏には一死から藤川が會澤・松山へ連続四球を与えて、阪神は5人目・岩崎にスイッチ。田中を抑えた後、菊池を歩かせて二死満塁となるが、途中出場・野間を三邪飛に打ち取り、瀬戸際で凌いだ。試合後、指揮官は「岩崎の球は素晴らしいので、そこは迷いなく行けた」と振り返っている。

広島は8回からジョンソン〜中崎と繋ぎ、延長10回表には一岡が登板。阪神は、先頭・植田が左前安打で出塁して、バッテリーにプレッシャーをかける。すると一死後 それまで3三振だった4番ロサリオが狙い通り、内角高め速球をレフト上層スタンドへ2号勝ち越し2点本塁打を打ち込んだ。4月1日以来となった主砲の一発で4対2とした阪神が、その裏をドリスが締めて4時間16分に及んだ苦しい戦いを漸く制する。

「あの場面では、あの球を狙っていたので、しっかり捉える事が出来て良かった」。ヒーローインタビューで決勝アーチのウィリン・ロサリオ内野手が笑顔を見せる。日本球界の配球に苦しんだ一ヵ月だったが、ここに来て6試合連続安打と上昇ムードに乗リつつある。「今は良いカタチでしっかり打てていると思う。(広島3連戦が)せっかく良い形で終われたので、次に繋げて行きたい」と胸を張っていた。

「土俵際でよくひっくり返してくれた!」。金本知憲監督は、久々にご機嫌だ。「(ロサリオには)こういう活躍を期待していたんだ。実際まだ本調子じゃないけど、数字は悪くない。これから数字が上がって来たら、どんな活躍を見せてくれるか?楽しみになって来た」。更に2安打3四球と全打席出塁で逆転を呼んだ植田については、「今日は足で一点取ってくれたし(ロサリオの勝ち越し本塁打の場面でも)出塁したからこそ、相手の集中が植田に行った事もあって存在感が大きかった。守備範囲も広いし、これからが本当に楽しみな選手」と手放しだった。

この3連戦が始まる前まで僅か1だったチーム盗塁数も毎試合2つずつ積み上げるなど、阪神の戦い方が明らかに変わって来た。そういう意味で、このマツダスタジアムが今季の転換点となるかもしれない。 「何にしても、マツダという地で3連敗を免れた。(球場全体が真っ赤な中で粘り強く戦い)逆転して、しっかり勝ち切れる」試合が出来た事が、指揮官には嬉しかったようだ。「(この一勝は)今後チームにとっても非常に自信になるんじゃないか?」。満面の笑みで4月の戦いを締め括っていた。