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高橋遥1球の無情

1点を争う息詰まる投手戦となったが、カード初戦を任された若き左腕が一発に泣き 十分な打線の援護を欠いた阪神が惜しい星を落とした。

巨人先発・桜井は、今季6勝で安定感を見せている。先発転向後、対阪神は2戦2勝 防御率1.93と相性も良い。阪神は久々に近本・木浪を1・2番に並べ、福留・マルテ・ソラーテのクリーンアップ。大山・高山・梅野と続く打線で挑む。初回 阪神は一死から木浪・福留の右への連打とマルテ・四球で満塁として5番ソラーテの中犠飛で先取点を奪った。

「打ったのはストレート。先制のチャンスだったし、バットをコントロールしてしっかりコンタクトすることを意識して、アグレッシブに打ちに行こう!と思っていたよ。初回から1点取ることができて良かったね」。先制犠飛のヤンハービス・ソラーテ内野手は、このように振り返っている。

直近2試合不振の阪神先発左腕・高橋遥だが、首位との大事な一戦に気合を入れ直して臨む。好調巨人は1〜4番は不動でゲレーロ5番。以下、若林・増田大・小林と並べた。高橋遥は初回を3者凡退で立ち上がり、序盤は快調にゼロを並べるが、4回裏 先頭・坂本勇に左前安打を許し、一死後 4番 岡本にやや甘く入った真っ直ぐをライトへ運ばれる 22号2ランを浴びて一瞬で逆転されてしまう。

巨人・桜井は2回以降も再三走者を背負って球数も多くなったが、粘り強く要所を締める。3回表は一死1・2塁でマルテ・大山を抑え、5回表一死1・2塁も4番マルテを三ゴロ併殺打を打たせて切り抜けた。

高橋遥も、一発は食らったものの 真っ直ぐが走り、チェンジアップやツーシームなどを織り交ぜながら非常に内容のある投球を見せ、1点ビハインドの7回表先頭打者でも阪神ベンチは代打を送らない選択。高橋遥を見逃し三振に斬ったところで、巨人・原監督は桜井に代えてリリーフ 高木を起用した。桜井は6回1/3(125球)6安打 6三振 3四球 1失点で、勝利投手の権利を持ってベンチに下がっている。

8回表 阪神先頭・福留がセカンド内野安打で出塁すると、巨人は高木から大竹にスイッチ。マルテは粘って四球を選び、ソラーテ・二ゴロで一死1・3塁となるが、6番 大山はシュート攻めに三ゴロ併殺打に倒れて、阪神は追いつく事が出来なかった。その裏は2人目・岩崎が、先頭・坂本勇に四球を与えるも後続を抑えて10試合連続無失点のナイスリリーフ。最終イニングに望みを繋いでいる。

9回表 巨人はデラロサが登板。阪神は先頭・高山が左前安打で出塁すると梅野の犠打で一死2塁となるが、代打・糸原は中飛。1番 近本も空振り三振に倒れて一歩届かなかった。2対1で巨人が接戦を制して60勝に到達している。

高橋遥人投手は、7回(113球)を投げて4安打7三振 3四球 2失点。好投空しく敗戦投手に終わった(2勝5敗)が、 「(収獲は)試合を作る事が出来た事。(真っ直ぐは良くなかったけど梅野捕手が)色んな球を使って7回まで投げさせて貰えたのは、素直に嬉しい」と悪びれずに振り返った。

「(7回表 高橋遥に代打を送らなかったが)いやまぁ、ポイントは他にもあるよね。別に下げる内容の投球じゃないし、勝たしてやりたいのも勿論あるし、その姿を見て打者がどう奮起するか?というのも・・」。矢野燿大監督の言葉は怒気を含んでいるようだった。「勿論ね。岡本に打たれた2点というのは、結果 本塁打だし。(それでも)東京ドームで本塁打を怖がってたら、投球にならない。そういう所では今日はバッテリーで凄く攻めて行くぞ!っていう気持ちも出てたし。まぁ、打者が打たなかったから負けただけで、ハルトに対しては前回より更に向かって行く気持ちがオレは出てたかな?と思う」。

特定の誰かを責めるつもりは毛頭ないが、高橋遥の懸命な姿に打線が応えてあげられなかった敗戦が悔やまれてならない。「勿論やろうとしても出来へん時もあるけど。でも何とかチーム全体でやっていかないと!オレらプロである以上 結果で評価される。一番得点が入るようなところにチャンスメイクがしっかり出来てる。あとは返すところが返すという事だけのゲームだったと思うんで・・。それが出来なかったっていうのが、ハッキリした負けの理由だと思う」。指揮官は、最後まで憤懣やる方ない表情のままだった。