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球児で・・まさかの終幕

引き締まった投手戦。阪神は8回にリードを奪って逃げ切りを図ったが、絶対的守護神が逆転サヨナラ弾を浴びて、ほぼ手中にしていた白星を最後の最後で逃した。

東京ヤクルト先発は、日本ハムから移籍2年目の高梨。21歳と若い捕手・古賀とコンビを組み、順調に立ち上がる。3回表には、阪神が梅野の左中間二塁打と秋山・犠打で一死3塁と先制機を作るが、1番 近本・捕邪飛。続く糸原も詰まって二飛に倒れて無得点に終わる。

一方、阪神先発・秋山も丁寧なコーナーワークで落ち着いた滑り出し。3回裏は併殺を挟んで下位打者に2安打を浴びるも後続を絶ち、序盤は上々の内容だ。共に1991年生まれ・29歳右腕の投げ合いで締まった展開となった。

4回表 阪神は、先頭・糸井が5試合連続ヒットとなる中前安打で出るも、一死後福留の猛烈なライナーが一直となって併殺。続く5回表には先頭6番ボーアが来日2安打目で初めての長打となる中越え二塁打を放つも、後続が抑えられてチャンスを生かせない。その裏ヤクルトも先頭・雄平のヒットと犠打で一死2塁と秋山を攻めるが、エスコバー・古賀で返す事が出来なかった。

7回裏 ヤクルトは青木・村上の連打で無死1・2塁と絶好のチャンスを作る。ここで阪神ベンチは、好投の秋山を諦めリリーフ岩崎にスイッチ。ヤクルトは雄平の代打・上田が送りバントを決めて一死2・3塁とする。山崎の代打・荒木と力勝負になるも、ここは岩崎が三邪飛に打ち取る。続く7番エスコバーは意表を突くセーフティバントを試みたが、マルテが捌き三ゴロで阪神は大ピンチを切り抜けてみせた。

6回0/3(81球)6安打3三振 無四球 無失点。先発として申し分ない投球の秋山拓巳投手は、「ゲームにもスムーズに入れたし、いつも通り粘り強くは投げられたと思う。結果的に無失点になったけど、7回も続投させて貰ってる以上、ああいう場面を投げ切らなければ勝つ事は出来ないと思うので、そこは反省したい」と振り返っている。

直後の8回表 ヤクルトは2人目・マクガフが登板する。この回先頭8番 梅野がフルカウントから直球を引っ張り上げた打球は、レフトスタンド中段へ飛び込む値千金の1号先制ソロ本塁打となった。お祭り騒ぎの三塁側ダグアウト。終盤に阪神が均衡を破って1対0とリードを奪う。

チームリーダーらしく大事なところで打った梅野隆太郎捕手が、胸を張る。「何とか塁に出ようと思ってコンパクトなスイングを心がけていた。本塁打は狙ってなかったけど、相手の一番良い球を打ち返す事が出来たし、秋山・岩崎の同級生の2人が頑張ってゼロで抑えてくれていたので1点取る事が出来て良かった」。

阪神は必勝継投に入る。8回裏はスアレスが3者凡退に抑え、最後は藤川の登場となった。9回裏 先頭・山田哲の左中間大飛球は守備固めのレフト江越がキャッチ。しかし、次打者・渡邊に四球を与える。4番 村上は直球・真っ向勝負で空振り三振!二死を取るが、途中出場・上田に左前安打で繋がれて、最後は代打・西浦の打球がレフトスタンドまで届いてしまった。劇的な逆転サヨナラ3ランで3対1と東京ヤクルトが、見事なうっちゃり。3人目で投げた左腕・長谷川に嬉しいプロ初勝利が舞い込む。

惜しくも敗れた阪神だが、打つべき手は全て打っての結果。先発・秋山は勿論、7回のピンチを凌いだ岩崎やスアレスは申し分ない投球だった。

「秋山が頑張っていたし、ピンチの場面だったがゼロで抑えることが出来て良かった」。岩崎 優投手が淡々と振り返れば、ロベルト・スアレス投手も、「勝っている場面での登板だったから、気持ちも入っていたし、3人で抑えることが出来て良かったね」と話している。

藤川球児投手は、さすがに悔しさを隠せない。「チーム全体でゲームを作り、あと1アウトのところまで行って… 勝ちたかった。相手が上回ったと思う。悔しいし、絶対にやり返す」と言葉を絞り出していた。

「(4安打に終わった打線について)チャンスがあったと言うか、チャンスすら少ないんで。もっと点取らんとね。今日はあのまま、最後球児に任せると言うところで。… この負けは仕方がない」。矢野燿大監督が重い口を開く。「アキ(秋山)は素晴らしかったね。丁寧に投げてくれてたし、本当に十分な投球をしてくれたので。アキに勝ちがつくような(打線の援護が欲しかった)。チームとしてはそこかな? 岩崎も落ち着いてね。色んな事を考えないとダメな状況だったんで、難しい場面。経験も十分あるので良い投球をしてくれた」。

勿論、初のカード勝ち越しが最後に泡と消えた黒星は痛恨だ。それでも、指揮官は次のように逆襲を誓っている。「始まったばかりなんで。何とかしなければ!と言うものは、みんな持ってやってくれてる。一人一人の状態を上げて貰って… 何とか流れを変えるようにやって行きます」。