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TORABAN Tantou Kisha ColumnCOLUMN INDEX

Vol.2011-25 若虎たちの溌剌プレーでチームを沸かせる!


柴田講平 選手

9月に入ってもセ・リーグは依然ダンゴ状態。カープ戦で3連勝し乗りに乗っていたタイガースも、神宮では3連敗。首位・スワローズとのゲーム差も7に広がってしまった。しかしこの終盤へきて、若虎たちが躍動し、その活躍ぶりが光っている。

9月6日のカープ戦では、スタメン2番に入った柴田がしっかりと“らしい”働きを見せた。初回は、タイガースが苦手とする投手・バリントンに対してファウルで粘って6球投げさせ、四球を選んだ。第2打席は無死一、二塁からピッチャー前へバントを決め、鳥谷の同点犠飛を呼び込んだ。第3打席は一死一塁から、何とここでもバントのサインが出た。チャンスに強い鳥谷に託す為だ。ここでも柴田はきっちりと期待に応え、ファーストへプッシュ気味に転がした。最後の打席は二死無走者。自分が塁に出なければならない場面。ここではセンター左へ安打を放った。全打席で仕事をし、「初めて役に立てた実感があります」と充実した表情を見せた。2度のバントはいずれも初球で決め、そしてどちらもが得点に繋がった。「平野さんの出塁率が高いので、2番の役割をきっちりしないと」と語る柴田。入団してこれまで、どちらかというとバントは苦手だった。


関本賢太郎 選手

今年も2球続けて失敗し、ヒッティングのサインに切り替わって強攻して併殺打―などというシーンもあった。しかし何とか生き残ろうと必死の柴田は、とにかく練習した。そして先輩の練習も間近で食い入るように見た。中でも「セキさん、スゴイっすよ」と心酔しているのが関本のバントだ。「セキさんは練習からヤバイっすよ。意図がわかるんですよ。何をしたいのか、方向とか強さとか・・・。で、練習でやったことが、本番でもちゃんとできるんすよ」。

そのあたり、関本に訊いてみると「そら漠然とするヤツおらんやろ」と笑い、「色んなイメージしてやるよ。相手ピッチャーもイメージするし」と明かす。そんな関本から何かを盗み取りたい。「2番に入ってたらバントの可能性があるので、練習から必死でした」。柴田は練習中ずっと、関本を目で追っていたのだ。「最初の頃はバントは嫌だった。でもバントが出来るから出させてもらってる。信頼してもらわないと、ゲームには出してもらえないから。ボクの生きる道です」。


柴田講平 選手

久慈内野守備・走塁コーチも嬉しそうだ。「アマチュア時代はずっとイケイケでやってきて、バントなんかしたことないんだから。ああやって試合で、しかも初球で決めて・・・そうやって成長していくんだよ」。キャンプから若虎たちに、徹底的にバントの極意を叩き込んできた。「ピッチャー前に転がせ」と。「自分の前に3~4メートルくらいの小さいダイヤモンドをイメージして、その中に転がすんだよ」。

更に「芯に当てて殺す。吸収するってことだよ。最も大事なことは、よく見ること、よく持つことだよ」とのこと。実はこの極意、あのバントの名手・川相氏から伝授されたのだとか。「オールスターの時、自分から聞きに行ったんだよ」。懐かしそうに振り返る。和田バッティングコーチもまた、「元々バントは上手くないけど、必死に練習したから2番がある。1アウトからのバントは、これからも状況によってあるよ」と進歩を認めた上で、更なる課題を与える。


上本博紀 選手

第3打席で一死一塁からバントを決めてベンチに戻ってきた時、柴田は和田コーチからこう言われた。「相手は1アウトでバントはないと思っている。シフトも敷いていない。そういう時は普通にバントの構えじゃなく、打つ構えで入るとかアドリブを利かせろ。状況によって、自分で考えろ」と。 そういったコーチ陣の教えを一つ一つ自身に刻み込んだ柴田は、翌7日も2番に入り、バントを2度、ファーストストライクで決めた。「昨日、今日と続いてなんで自信にもなるし、もっとバントの精度を高めたいと思うようになった。安心して見ていられるようになりたい」。成功は意欲や向上心を高め、また次なる成功を生む。


俊介 選手

この日は勝ち越しに繋がる四球も選んだ。「2アウトからだったのでデカかった」。地味ながら、勝利への貢献度は大きい。最後は代打に上本を送られ悔しい思いをしたが、途中出場した翌8日の試合では、1打席ながらセンター左へ運び、きっちりと結果を出した。「途中出場だったけど、めっちゃ冷静でした。ガチガチじゃなかった。先頭だったから、とにかくチャンスを作ろうと思った」。そのチャンスは、森田が「ダメ押し点」という形に昇華させた。

このカープ3連戦。柴田や上本、森田だけでなく、3戦目スタメンの俊介も勝ち越し打を放ち、大和は後半の守備でチームを救うなど、若虎たちが溌剌プレーで沸かせている。残念ながらスワローズ戦では3連敗したが、まだまだ残り35試合。悲願のV奪還へ向かって、若虎たちも必死の戦いを繰り広げる。