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Vol.2010-5 戦国リーグを駆け抜けろ!虎ファーム快調に5連勝


中西清起 ファーム投手コーチ

平日にもかかわらず『Tigers Den』は人で溢れ返っていた。 5月12日(水) セ・パ交流戦が開幕。ファームも期間中は一軍と連動して復刻版ユニフォームを着用するが、ナイトゲームの甲子園より一足早く、鳴尾浜でも懐かしい『輝流ライン』のお披露目となった。

5月12日(水) 鳴尾浜で行われたウエスタン・リーグ 対オリックス6回戦。 一軍が交流戦期間に入った関係で先発ローテーション組み替えや見直しが行われ、この日も阪神・上園、オリックス・山本というバリバリの主力投手が鳴尾浜で投げ合う構図となった。

翌週の交流戦登板を睨み、調整の意味合いで先発した上園啓史投手だったが、6回を投げて5安打1失点と貫禄を見せた。「調整と言うか、そんなつもりじゃなくて、しっかり投げようと思った。球自体はそんな悪くない。イイ球行ってた。四球が投手とか下位打線だったので、無駄な四球が(反省点)。真っ直ぐとフォークをしっかり腕を振る事を考えて投げた」。4回 長田にレフトへの先制二塁打を許したものの、走者を背負っても持ち味の強気な投球で最少失点に抑えた。


平田勝男 ファーム監督

中西清起ファーム投手コーチは、「上園はボール自体は良かった。四球が多すぎる。ちょっとバランスを崩すところがある。投げっぷりで勝負するタイプだが、(ストライクゾーンに球を)置きに行って足が止まってしまう。低いところに意識があるが、どうしても下位の投手とかストライクを取らないかん(という)意識が強すぎて…」と分析する。4回には8番 辻を敬遠する満塁策で投手の山本を抑える用心深い場面もあったが、「下(ファーム)の投手なら逆に勝負させてるけどね」と一軍ローテにある上園への配慮も覗かせた。「球は走ってたし、低めに集める意識があった。四球5つ? (課題は)その辺やね。(ただし)こういう時、上から来る投手は意外と投げにくいもの」と、ファーム若虎の総帥・平田勝男監督も上々の評価だった。


横山龍之介 選手

打線はサウスポー山本省吾投手の前に5回まで沈黙したが、6回に敵失絡みのチャンスを生かして、浅井の同点左前安打、林の勝ち越し犠飛で逆転した。しかし、全体的な印象として平田監督は話す。「若い選手が一軍ローテで投げてる投手のボールに弄ばれてる。山本にも訊いたんだけど、足上げて顔を走者の方に向けて…(動きを制する)。クイックで投げる投手が多い中、あまり対戦しない(タイプの)投手。(初回に出塁した際、牽制球で)上本がアウトになってから、次(走者に出ても)よう行かん。これをクリアして行かんと(一軍に定着しているライバルの)大和なんか抜かれへん」。

1点をリードすると、7回からは1イニングずつ、ジェン~金村曉~横山と繋いで逃げ切った。投げ方をサイドに変えて新境地を開いた横山龍之介投手は、1安打は許したものの無失点で最終回を抑えて、リーグ最多の21試合目登板で今季初セーブを挙げて見せた。「ブルペンはあまり良くなかった。真っ直ぐが走ってなかった」らしいが、「フォーク、スライダー、シュートで何とか組み立てられたのが良かった!」。抑えだった石川の昇格で、横山の持ち場もよりプレッシャーのかかるクローザーとなるが、「中西コーチからも言われている。気持ち的には大変なイニングだが、テーマを持って(これまで通り)思い切ってやるだけ。(とは言え)点差も考える必要がある。7~8回とは変わって来る」ので、さらなる勉強の場と捉えて行く。平田監督は言う。「緊張感あるゲーム。プレッシャーのかかる中で抑えて行く。後ろの3人(にとって)も意味ある登板だった。横山なんか、段々これで自信つけてくれたら…!」。


横山龍之介 選手

登板機会が増えて自己管理も大変だが、「毎日ストレッチは必ずやっている。後は(強化)トレーニング。肩もそうだが、上半身、下半身のメニューを」ちゃんとこなしている。このまま行けば一軍に上がるのは自然の流れだが、「多少(調子の)波はあるので、ソコを少なくする」のが今後の課題である。

2対1で際どく勝ってこれで5連勝!「チャンスは少ないというより1回や。3年ぶり位じゃない?坂が3盗決めた!言うのは…」。6回逆転劇を演出した坂の走塁に目指す野球の一端が見える。「そういうところでスキを衝いてイイ投手をどう攻略するか?(を学んで欲しい)。足を絡め、しっかり守って…坂の3盗なんか、良い教訓だった。そういう意味では、若い選手にはイイ経験だよ」と、内容のあったゲームを満足そうに振り返る。こうした積み重ねが、強い猛虎を育てる事をファームの指揮官は知っているのだ。

今季のウエスタン・リーグは5月17日現在、全チームが5ゲーム差の中にひしめく大混戦。阪神ファームは、33試合で17勝14敗2分の勝率.548 。首位福岡ソフトバンクに0.5差の2位と絶好の位置につけている。