白仁田寛和 選手
一軍の開幕までカウントダウンが始まっているが、3月20日、ウエスタン・リーグが一足早く開幕。タイガースファームはオープニングカードの中日三連戦(ナゴヤ)を三連勝(3-0、7-1、3-0)と最高のスタートを切った。
プロ入り以来、最高と言ってもいいピッチングを見せたのが、開幕投手を任された5年目の白仁田寛和投手。昨秋キャンプでは広岡達朗氏(元西武監督他)、今春キャンプでは佐々木主浩氏(元横浜、シアトルマリナーズ)などそうそうたる顔触れから絶賛される高いポテンシャルの持ち主だが、大成を阻んでいたのが精神面の弱さ。しかし初回、トップバッターのドラ1ルーキー高橋周平選手相手にすべてまっすぐ勝負を挑み、最後は145キロの速球で空振り三振に退けるなどこの日は強気のピッチング。二回以降もテンポよく投げ続け、6回を投げて被安打3、5奪三振、さらに無四球で、昨シーズンのウエスタン・リーグ覇者のドラゴンズ打線を手玉に取り、中西清起ファーム投手コーチも「打者に思い切って入っていけるようになった。そこが変わった」と成長を認めた。2007年度大・社ドラフト1巡目での入団も結果を残せず、その間に背番号も『47』から『64』に降格するなど紆余曲折はあったが、ようやく花開くときが来たのかもしれない。
白仁田寛和 選手
一方打線のほうは、3月に行われた教育リーグ、交流戦7試合で10得点。うち6点を奪った亜大戦を除けば、6試合で4得点と元気がなかったが、中日三連戦では13得点と好投する投手陣を援護した。中でも目立っていたのが高卒2年目育成枠の阪口哲也選手。本職はセカンドだが、ショートでスタメン出場を果たした初戦は3打数2安打1打点、二戦目も途中出場ながら2打数2安打2打点、三戦目は代打で出場して無安打だったが、6打数4安打3打点の活躍。「力まないように、でも強く振るようにしています」と言うようにスイングも鋭くなり、力強さを増してきた。上を見れば一軍レギュラーの平野恵一選手、鳥谷敬選手はもちろんのこと、それに続く選手たちも人材が豊富なタイガースの二遊間。さらに首脳陣からの評価も高い高卒ルーキーの西田直斗選手も下から突き上げてくる。高卒2年目とはいえ立場は育成枠なだけに、安穏とはしていられない。そうした環境が阪口選手のスイッチを入れたのか、昨年はまだ高校生のそれだった顔付きも、1年経って随分と精悍になってきた。ライバルは多いがファームでの出場機会を確保して、支配下選手登録を勝ち取りたい。
阪口哲也 選手
中日との三連戦では3試合で13得点を挙げた打線だったが、一転、鳴尾浜でのソフトバンク戦は2試合で1得点ずつ。吉竹春樹ファーム監督も「まぁ、さみしいね。ナゴヤでは良かったんだけど、内容がだんだんね」と渋い表情を見せた。その2得点はともに中谷将大選手のタイムリー。昨秋キャンプでは一軍首脳陣から素質の高さを絶賛され、今春キャンプでも2月の練習試合、オープン戦4試合で四番を打つなど期待も大きかったが、結果は5試合に出場して18打数1安打と自分のバッティングができず、ファーム降格後も教育リーグ、交流戦6試合に出場して21打数3安打と自慢のバットは湿ったままだ。そんな状況でも2戦連続タイムリーはさすがだが、ファーム首脳陣が中谷選手に求めているのはこの程度ではない。中谷選手も結果が出たのは良かったとしながらも「他の打席の内容が悪い。三振するにしても中途半端じゃなく思い切り振りきらないといけない」と自分のスイングができていないことを猛省。今春キャンプでは跳ね返されたが、次はその壁を乗り越えるため、高い意識レベルで練習、試合に取り組んでいる。