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Vol.2011-15 フェニックス・リーグ序盤戦レポート


田上健一 選手

10月8日、サンマリンスタジアム宮崎でイースタン・リーグ優勝の北海道日本ハムファイターズとウエスタン・リーグ優勝の中日ドラゴンズが、今年のファーム日本一をかけて対戦した。結果は中日が4-3で日本ハムを破り、2年ぶり6回目のファーム日本一に輝いた。

その2チームに加えて、2日後にはタイガースを含む残る10球団のファームチーム、韓国プロ野球から斗山ベアーズ、ハンファイーグルス、LGツインズ、さらに四国アイランドリーグplus選抜の計14チームが同じく宮崎に集結。宮崎の青い空の下、プロ野球の将来を背負う若きスター候補が一堂に会し、今年もフェニックス・リーグが開幕した。

タイガースの開幕戦は、2日前にファーム日本選手権が行われたサンマリンスタジアム宮崎で横浜を相手に行われた。先発マウンドには2年目20歳の秋山拓巳投手。昨シーズンは一軍で4勝を挙げたものの、今シーズンは2試合に登板したのみで、0勝1敗、防御率6.14。使い古された言葉だが、“二年目のジンクス”にはまってしまった格好だ。この日も5回1失点と試合は作ったものの、毎回のようにランナーを背負う苦しいピッチング。シーズンを通してフォーム固めに苦しんだが、現在は投球のさいに左足をワンテンポ置く新しい投球フォームに取り組みはじめたところで、秋山投手も「まずはフォームをしっかり固めること」とフォームの精度を高めることに重点を置いていた。


田上健一 選手

試合のほうは1点ビハインドの八回、途中出場の田上健一選手が一死二、三塁からファースト頭上を越すライト前2点タイムリーヒットを放って、2-1で逆転し、開幕戦を勝利で飾った。殊勲の逆転打を放った田上選手は、ルーキーイヤーの昨シーズン、開幕直後の3月29日に早くも支配下登録。7月には一軍昇格も果たすなどまずまずの一年だったが、今シーズンのウエスタン・リーグでは、打率こそほぼ変わらなかったものの(2010年.242、2011年.245)、他の項目はほぼすべての数字が悪化した。この現状を打破するため、速いボールに負けずに力強い打球を打てるように、右腕をヒモで縛ってバッティング練習を行っている。スイングのさい、脇が開きすぎていると力が逃げてしまうため、脇を締めて、バットのヘッドを利かせて打てるようにと8月から取り組んでいる。最初は違和感があったそうだが、田上選手も「打球の質が変わってきている」と練習の効果を実感。開幕からの8試合に出場して21打数9安打4打点と結果を残すと、19日には森田一成選手とともに一軍昇格を果たし、同日の横浜戦(甲子園)ではうれしいプロ初安打を放った。


野原将志 選手

二戦目は韓国のハンファイーグルスと対戦。序盤はリードを許す苦しい展開も、1点ビハインドの五回、野原将志選手の2ランで逆転。一度は同点に追いつかれたが、七回、再び野原将選手の2点タイムリーで勝ち越しに成功。八回にも1点追加したタイガースが7-4で逃げ切った。この試合でホームランを含む4打点の野原将選手は「調子云々ではないです。まだ一軍で試合も残ってますんで、結果を残して呼んでもらえるように」と一軍再昇格に必死だ。

三戦目の楽天戦(生目の杜第2)は一転、投手戦。先発の鶴直人投手は初回に連打を浴びて、無死一、三塁のピンチを招いたが、後続を三者連続三振。これで勢いに乗ると七回まで危なげないピッチングで7回4安打無失点。中西清起ファーム投手コーチも「良かった。ボールに角度があったし、まっすぐに力もあって、腕も振れてた」と合格点。鶴投手も「腕が振れる位置、タイミングが分かってきた。あとはもっとスピードが出るようにしたい」とシーズン後半から取り組んでいるフォームの修正に手応えを感じている。打線のほうも0-0の八回、二死二塁から藤井宏政選手がこの日3本目となるヒットで待望の1点。川井、川岸といった一軍経験もある投手からの3安打に藤井宏選手は「自信になります。ここで成長できるように頑張ります」と悲願の支配下選手登録へ向けてさらなる成長を誓った。


藤井宏政 選手

四戦目のロッテ戦(清武)は、今シーズン成長著しい清原大貴投手がしっかりと結果を残した。五回までは毎回ランナーを背負い、中盤はボールも高めに浮いてきていたが、五回終了後のグラウンド整備のさいに中西コーチが一喝。すると六回、七回は三者凡退と「六回から修正してきたね」と中西コーチも高い評価を与えた。結局、プロ入り自己最長となる8回を投げて無失点でマウンドを降りた。中西コーチは「球速も約10kmアップしたし、スピード以上のキレもある。鶴と同じ土俵に乗ってきた。一軍に推薦できるところまできているよ」と評価する一方、「クイックはだいぶ早くなってきたけど、牽制のターンがまだ遅いな。(三回に生山のセーフティーバントを捕り損ったことを挙げ)普通ならアウトだよ」と投げるだけではなく、フィールディングを含めた総合的な投手としてのレベルアップを求めた。打線のほうも四回に森田選手、野原将選手の連続タイムリーなどで4点を奪ってゲームの主導権を握ると、八回にも2点を追加して6-0で完勝した。


清原大貴 選手

第2クールが終わった時点で7勝1分けと好調なタイガース。一方、一軍は最大の山場だった10月13連戦の最中、優勝、そしてCS進出の可能性が消え、順位も四位が確定した。残りのシーズンは消化試合となったが、フェニックス・リーグ参戦中の若トラたちに一軍昇格の可能性も出てきた。19日には前述のように田上選手と森田選手が一軍昇格し、鶴投手、清原投手らも一軍に合流予定。消化試合とはいえ、若手選手にとっては大きなチャンスとなるだけに、是非とも来シーズンにつながるプレーを見せてほしい。