- 【開幕2日前】危機をチャンスに
- 2012阪神タイガース戦力レビュー(外野手編)
今シーズンの外野守備陣容は、春季キャンプから様々な組み合わせが試されてきた。もちろんシーズンに入れば一年を通じてポジションを固定して戦うことが理想だが、戦力の過渡期でもある現在のタイガースにはレベルアップのための競争も必要。そんなバリエーションの中から不動のポジションを奪い取る若手が出てくることを期待したい。
センターは、当初柴田選手が本命と見られていたが、自主トレ期間中に左肩痛を発症。春季キャンプは安芸でのリハビリから始まった。沖縄キャンプでは昨年の開幕センターの俊介選手、即戦力ルーキー、伊藤隼選手らがしのぎを削ってきた。そしてその中から頭一つ抜け出してきたのは、本来は内野手の大和選手。守備範囲の広さとバッティングをアピールして、首脳陣の信頼を得るようになってきた。しかし柴田選手も、オープン戦終盤に復帰。開幕直前の総仕上げともいえるマリナーズ、アスレチックスとのプレシーズンマッチには、二番・センターで先発出場し、2戦連続でタイムリーを記録するなど、開幕センターの座をぐっと引き寄せた。
そしてレフト、ライトは金本選手、マートン選手が基本線。金本選手は寒いオープン戦の時期でも攻守ともに昨年とは比べものにならない状態の良さを見せていた。本人も相当の覚悟で臨む21年目の今シーズン。かつての爆発力を再び見せて欲しい。一方、左太もも裏筋挫傷によってチームを離脱したマートン選手だが、順調に復帰への道を歩んでいるとはいえ、開幕時のスタメン出場は厳しい状況。しかしその打棒はタイガースにとって必要不可欠な存在。万全かつ一刻も早い復帰が待ち望まれる。当面の代役としては、緊急措置として外野練習をしてきたブラゼル選手を回すことも考えられるが、現実的にはオープン戦終盤そしてメジャーとの2戦で結果を残した伊藤隼選手や実績のある林選手らが競っている。
いよいよ開幕を迎えるタイガースは、キャンプから準備してきた危機管理時の対応を、シーズン前から求められている。マートン選手が復帰し、センター守備が固定されるまで、いくつかのオプションが見られることになるだろう。そしてそのチャンスを生かし、存在をアピールする若手選手が一人でも多く出てくることが、今のタイガースに求められている。