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5度目の挑戦で初のCS初戦勝利

価値ある1勝だ。先発・メッセンジャーが広島打線を8回4安打無失点に封じれば、打っては6回、レギュラーシーズン終盤から好調を維持する福留が、広島のエース・前田健からバックスクリーンへ特大ホームラン。9回は守護神・呉昇桓が3者連続空振り三振に斬って取り、5度目の挑戦で初めて、クライマックスシリーズ初戦をモノにした。

「シーズンで一番安定した成績を残した投手が初戦に投げるべき。もちろん、自分が投げるべきだと思っている」

200イニング以上を投げ、チーム最多の13勝をマークしたメッセンジャーは、自信たっぷりにそう話していた。結果が悪ければ恥をかくことになるが、そんな心配は無用だった。

初回、二死から2人の走者を許すも、「特にピンチという意識はなかった。内野の間を抜けたヒットだったからね」と意に介さず後続を断ち、2回以降は危なげないピッチング。8回、先頭の代打・田中にストレートの四球を出したときには、「正直、イラッとした」そうだが、「切り替えて、落ち着くことができた」。二死後、難敵・丸にはカウント3-1とボールが先行したものの、遊飛に打ち取り、先発の役割をきっちり果たした。

そんなメッセンジャーを援護したのは、またしても福留だった。レギュラーシーズンで福留が放った本塁打は9本。うち3本はメッセンジャーが先発した試合で、そのすべてが決勝本塁打だったのだから、2人の相性は抜群だ。

9月以降、打率.357と打ちまくり、何度もチームを勝利に導く一打を放った六番打者は、ポストシーズンでも勝負強さを発揮した。関川打撃コーチによれば、福留が6回一死から打席に向かう際、和田監督が「こういうときの孝介や」と言ったそうで、その通りの結果となった。

「(前田健が)いいピッチャーなのは間違いない。1打席に1球でも甘い球があればラッキー。反応だけで打った。いい形で打てる場所に来たら、積極的に打ってやろうと思っていた」

7回の守備に就く際には、阪神ファンから大歓声を浴びた。

「去年はカープの応援団に押されていた感じで、ゲーム展開もそうだったけど、きょうは、ここ(甲子園)でやっている強みというか、声援を味方につけている気持ち良さがあったね」

地の利を生かした阪神が、大きな、大きな1勝を手にした。