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TORABAN Tantou Kisha ColumnCOLUMN INDEX

Vol.2011-1 大志抱きイイ('11)年船出!『新人王』へ 1・2・3 だぁ~!


一二三慎太 選手

一二三の2011年が始まった。木々の緑が見つめる中で勢いよく駆け出す白いジャージ。名前のようにステップ・バイ・ステップで成功への階段を上がって行こうと・・・!

1月4日(火)大阪府堺市の府営大泉緑地公園野球場で、少年野球・ジュニアホークスボーイズ主催の新春恒例OB戦が行われた。現役選手を始め、チーム関係者や父母たちも顔を揃えて華やいだムードの中、阪神ドラフト2位ルーキーの一二三慎太投手(東海大相模高)が登場。新年の挨拶と、自身の自主トレ公開のためである。昨夏の甲子園大会準優勝右腕は、中学生まで地元大阪のジュニアホークスでプレーしていた。

オールドファンには懐かしい『南海ホークス』そっくりなユニフォームに身を包んだ後輩たちに囲まれて、さっそく記念撮影。甲子園のヒーローは、子供たちの憧れ。みんな目を輝かせてカメラのレンズに笑顔を向ける。次に白いジャージ姿の一二三が緑地公園内の遊歩道へ移動すると報道カメラマンもそれに続いた。まずは、自然に囲まれた中でのランニングで自主トレのスタートだ。


榎田大樹 選手

高校が神奈川県(相模原市・東海大相模)のため、大阪に里帰りした時には挨拶回りに忙殺される一二三。加えてプロ入りが決まったこの年末年始は、「かなり忙しい」冬休みとなり、初詣に行く時間も取れない。そんなプロ元年となる新春だが、「いつも通りと言えばおかしいけど、そんなに何も考えずに迎えた」そうだ。初トレーニングは3日でランニング30分、30mダッシュ×10本、シャドーピッチング、ストレッチなどを1時間半~2時間位かけて消化した。「(1年目からやるべき事は)ランニングです。長距離走って体力つけて、ダッシュでキレを出して、ウエイトやるなり足の力をつけて、上半身は自分なりには(ある程度)イイかな?と思うので・・・。1回から9回まで、(いや)それ以上投げられるような体力を!」・・・。高校生とは言うものの、さすがに百戦錬磨!しっかりした考えを持っている。

この日は、OB戦開催中のグラウンド(外野)で報道陣の為キャッチボールを軽くした後、意を決してブルペン入り。変化球を交えて50球の初投げも行った。「久々で気持ちが良かった。ほぼ全力だった!」とニッコリ。勿論、昨年センバツ大会後に上手から転向したサイドハンドでの投球だった。「上からより速い球を投げられるので」本人は当面、そのまま横手投げを続けたい希望がある。ただ、「自分の意思ではサイド」でも、コーチの指導には従うつもりでいる。

この高校生ルーキーは初年度の目標を訊かれて、何のためらいもなく『新人王』とブチ上げる。「それは夢と言うか、自分の中の目標。自分の全力を出し切ってみせたい。(数字など具体的には)分からないが、努力すれば自ずと結果はついてくる。(プロでやって行けるかどうか?は)不安半分、自信半分です」。


荒木郁也 選手

だが、気合いが入り過ぎてしまったのか?翌日、一二三は体調に異変を感じる。38℃の高熱と喉の痛みに下された診断は、『溶連菌(溶血性連鎖球菌)による感染症』。感染力が強い伝染病の一種である事から、平熱に戻っても大事をとって6日に予定していた虎風荘への入寮は延期となってしまった。新人の入寮日には両親が、息子の部屋に荷物を運び入れただけである。

育成選手を含む8人の新人で、ただ一人入寮が遅くなって実家で悔しい思いをしたであろう一二三。それでも、まだまだこれはプロの序章に過ぎない。

その1月6日(木)入寮したルーキーの内、高校生以外は社会人の榎田大樹投手(東京ガス)と大学生の荒木郁也内野手(明治大)のわずかに2人だけ。「とりあえず焦らず・・・たぶん高校生は活発だと思うので、引っ張られないように。ケガしたら元も子もない」からと、榎田は自分に言い聞かせていた。

やはり即戦力と期待されて社会人からプロ入りした能見篤史投手も、25歳だった新人の頃を振り返り、「周りが飛ばすから、飛ばし過ぎないように気をつけろ!」とアドバイスを受け、オーバーワークを防いだエピソードを明かした。同じガス会社(能見は大阪ガス)出身の後輩左腕を気遣う心に偽りはない。


能見篤史 選手

その能見だが、昨年の8勝負け知らずと抜群の成績も右足甲骨折で長期離脱したことが何とも悔やまれるシーズンだった。骨折後は3ヶ月位走れない時期があっただけに、このオフは「走ること」に徹底的なこだわりを持ってやって来た。距離もダッシュの内容など質量共「全部ですね!」と全ての基礎となる下半身の強化に勤んでいる。

幸い骨折した右足の状態は気になるところが、「全くない」らしい。「(医者からは)完治しない確率の方が高いと言われていた。覚悟しながらやってたが・・・」嬉しい誤算である。新年も「元旦から(神戸の海岸を走って)始動してる」能見だが、目新しいトレーニングは「加圧(トレ)くらいですかね。あまり例年と変わらない」との事。体幹強化の為の数十種類に及ぶメニューにも黙々と取り組むだけだ。


小宮山慎二 選手

「やはり、あったかい所でしっかり動く事が大事」と10日に入る予定の沖縄での自主トレを心待ちにしている。嘉手納町では、元チームメイトの藤田太陽投手(西武)や関本賢太郎内野手、小宮山慎二捕手と合流する。いつもの自主トレ・パートナーだった狩野恵輔選手が昨年11月、椎間板ヘルニアの手術をした関係で今年は欠席。代わりに関本、小宮山らを相手に『打撃投手』(通称バッピ)で調整していく。

14勝をマークした2009年以来3年目となる沖縄自主トレだが、「最初は肩慣らしをして、変化球も入れて行く。打者がどう反応するか?が勉強になるし、打者も生きたボールの方がイイかな?と思って・・・」。これまでのスタイルは変えないつもりだ。「とりあえず毎年2月1日にしっかり投げられる状態」に。その他の事はあまり考えない。実現すれば初となる開幕投手に関しても「(やりたい気持ちは)ナイっちゃ無いですね(笑)」と全く乗って来なかった。

マウンドの仕草同様に落ち着き払って受け答えする左のエースには、今季への自信が満ち溢れていた。キャンプまで、あと3週間程。ルーキーから中堅・ベテランまで、それぞれに残された『自由時間』は意外にそう長くはない。