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TORABAN Tantou Kisha ColumnCOLUMN INDEX

Vol.2011-35 このタテジマに誇りを持って!!・・・『実戦派』ルーキーお披露目


和田豊 監督

「ユニフォームを着るというのは(それだけの)責任感があると言う事。着れた!というのは物凄い事。このユニフォームに恥じないプレーを!!」・・・育成選手からスタートを切るルーキーの言葉にすっかり感心させられる思いだった。

2011年12月12日(月)、大阪市内のホテルで、『2012年度 新人選手入団発表会』が開かれた。今年のドラフト(10月27日 東京)で指名を受けた6人の精鋭たちが一斉に顔を揃え、この日に正式契約。初々しいプロ第一声を発している。

和田体制1年目のルーキー達はなかなかの個性派集団だ。「しっかりしてるね。落ち着いてるし、最近のコは・・・」と南信男球団社長が舌を巻く。「今年のコは、生え抜きの主力選手になって行って欲しい。ドラフトで獲った選手がチームの主軸になってもらうのが、編成の基本。こういうドラフトで獲った選手がいち早く活躍するチームは強いし、活力とか刺激を与えて、ベテランと若いのが競い合って行くのが理想ですよね」。

「我々の頃は、プロに入ってから鍛えると言う感じだったが、(既に今の段階で)しっかりトレーニングしてるな!と言う印象」。ルーキー達の表情や体つきを見て、和田豊監督も目を細めた。「実戦向き。そういうタイプが多い。(実戦派というのは)試合になると違ったものが出てくる。練習も含めて実戦も見てみたい。ここが最終ポイントではない。(大切なのは)プロに入ってどうするか?」と語り、将来の大きな目標と少し頑張ればクリア出来そうな目標の両方を設定して目的意識を明確に取り組んで行くよう強く望んでいる。

新人選手のプロフィールを紹介しよう。


伊藤隼太 選手

ドラフト1位<背番号 51>
伊藤隼太(いとう・はやた)外野手

176㎝・84㎏/右投左打/1989年5月8日生まれ
愛知県出身/22歳/中京大中京高~慶應義塾大

『長打を打てる外野手』というチームの補強ポイントにピタリと嵌る即戦力スラッガー。今春は打点、本塁打の2冠王に輝き、慶大をリーグ優勝に導いた。

名前の由来は、初代ウルトラマンのハヤタ隊員から。阪神では『鉄人』金本知憲外野手に倣って、「長くやって存在感ある選手」を目指す。「打撃で期待されてると思うが、野手なので、守る・投げる・走る、全てでアピールしたい」隼太だが、前日、甲子園のクラブハウスで行われた体力測定では、歴代新人最多の懸垂21回など各種目で軒並みハイレベルな数値を記録して、身体能力の高さを示している。「言ってる事も顔の表情もイイし、打席の中での雰囲気もイイ。そういうものは今までの積み重ね・・・それを今度は、プロの打席でどう出せるか?」と、和田監督の期待度は計り知れない程だ。


歳内宏明 選手

ドラフト2位<背番号 26>
歳内宏明(さいうち・ひろあき)投手

183㎝・85㎏/右投右打/1993年7月19日生まれ
兵庫県(尼崎市)出身/18歳/福島・聖光学院高

魔球『スプリット』を操り、東北の期待を背負った右腕。中学時代は、田中将大投手(東北楽天)らを輩出した名門・宝塚ボーイズに所属。全国大会にも出場した。高校は、東北へ野球留学。「自分は兵庫出身だが、温かく福島の人は応援してくれた。いろんな人に支えられた3年間だった」と、感謝の気持ちを強調する。プロで活躍する姿を通じて少しでも東北に恩返しが出来たら・・・と心から願っている。大きな武器になると期待される魔球だが、「スプリットは、プロの打者からすれば大した事ないと思う。それ以上に気持ちで圧倒されないよう、精神的な部分で成長して行きたい」と話す。「三振取る投手になりたいけど、三振取り過ぎても、チームの守るリズムが悪くなるとも言われた。数にはこだわりたいが、ゴロを打たせる事の出来る投手になりたい。点をやらないように・・・」。しっかりした考えを持っている。


西田直斗 選手

ドラフト3位<背番号 33>
西田直斗(にしだ・なおと)内野手

185㎝・80㎏/右投左打/1993年4月26日生まれ
大阪府(八尾市)出身/18歳/大阪桐蔭高

やや細身だが、抜群のセンスで広角に打ち分ける天才打者。あの桑田真澄投手(元巨人)を生んだ『八尾フレンド』から9人目のプロ野球選手となるそうだが、将来は「八尾フレンドと言えば西田!とすぐ名前が出るように」と夢見ている。

背番号33については、「小学生の時から『3』を着けてたので嬉しかった。(今季まで33番の)葛城さんも凄い左打者だったので・・・」と笑顔を見せた。「伊藤(隼)さんのように即戦力と見られていない。1~2年、身体を作らないと勝負出来ない。まずは体作りから!と思っている」。スーパー高校生は決して焦らず、じっくり先を見据えてやって行くつもりだ。


伊藤和雄 選手

ドラフト4位<背番号 17>
伊藤和雄(いとう・かずお)投手

184㎝・85㎏/右投右打/1989年12月13日生まれ
埼玉県出身/21歳/坂戸西高~東京国際大)

最速150㎞/hの速球を武器に気迫溢れる攻めのピッチングで勝負する本格派右腕。入団発表の翌日が22歳のバースデーで、忘れ難い『21歳最後の日』となった。プレゼントと言えば、「小さい頃、親によく野球ゲームを買ってもらった」思い出が甦る。今度は、自分自身が『ゲームの駒』になる日も近い。「自分が『パワプロ』(『パワフルプロ野球』と言うゲーム)に出るとか、実感はないけど頑張ります!」。

大学では、赤ヘル黄金時代の名将だった古葉竹織監督に鍛えられた。「誰にも負けない強い気持ちを持って頑張れ!」・・・恩師から、プロで生きる為の金言を受け取っていた。対戦したいのは、今季のセリーグ首位打者・長野久義外野手(巨人)。「自分の真っ直ぐで勝負してみたい。実は巨人ファンだけど、もう阪神の一員になったので、巨人を倒したい」と告白した。


松田遼馬 選手

ドラフト5位<背番号56>
松田遼馬(まつだ・りょうま)投手

182㎝・82㎏/右投右打/1994年2月8日生まれ
長崎県(島原市)出身/17歳/波佐見高

強気の投球で春夏の甲子園を沸かせた注目株。父の愛読書『龍馬がゆく』(司馬遼太郎 著)から命名された。会場には、両親と共に高校生の妹さんの姿も・・・。バレーボール選手として全国大会を目指す立場で、兄の晴れ姿に目を輝かせていた。

松田は、「父が阪神ファンなので、一緒に阪神巨人戦をテレビで観ていて」巨人・阿部慎之助捕手と対戦してみたい!と思った。「左打者のインコースに投げ込んで抑えてみたいと言う気持ち」が強い。やはり右の本格派である伊藤和雄投手と同じく、目標とするのはキャプテン・藤川球児投手。「真っ直ぐで抑えられる投手に・・・!」目指すは、ズバリ150km/h台の豪速球だ。


廣神聖哉 選手

育成ドラフト1位<背番号 128>
廣神聖哉(ひろかみ・せいや)捕手

173cm・85kg/右投左打/1989年8月19日生まれ
群馬県出身/22歳/前橋育英高~群馬ダイヤモンドペガサス

BCリーグで活躍する強肩強打の捕手。高校時代から注目されたパワフルなスイングは粗削りだが、非常に魅力的な素材である。

「ユニフォームを着る、脱ぐというのは、ボクにとって大切な事。それに恥じない野球生活を送りたい」。苦労人らしい一言が新鮮だった。今回の入団発表に際し、初めて6人が顔を揃えて同じホテルに宿泊したが、「ボクの部屋に6人集まって」親交を深めるなど、早くもムードメーカーぶりを発揮したようである。

独立リーグでは、人前で話す機会が多かったと言う廣神は、いつしか緊張を解き放つコツを身につけていた。「まずは、人を見ないで遠くを見る。(喋ることを頭にインプットしたら)自分の世界に入って、言いたい事をパッと言う方が楽かな?」。コミュニケーションと言う、捕手としても大事な要素を持っている事を感じさせる。

「打撃では金本選手。捕手は城島選手」をお手本にする。ライバルには、高校時代、群馬大会で対戦して敗れた藤岡貴裕投手(千葉ロッテ1巡目)を挙げた。彼と同じ舞台に立つために「まずは支配下登録の壁を乗り越えたい」。『ユニフォームの意味』を知る選手のサクセスストーリーが、始まる。