エンタメ

コラム・ブログ

TOP > エンタメ > コラム・ブログ > トラ番担当記者コラム

TORABAN Tantou Kisha ColumnCOLUMN INDEX

Vol.2012-8 カネ&ジョー、那覇で揃い踏み!台頭の若虎には死角?・・・オープン戦開幕

ダグアウトは、お祭り騒ぎだった!岡﨑が、大和が、新井良が、次々と花火を打ち上げる。取りも取ったり大量18点!練習試合とは言え見事な集中攻撃に、指揮官は内心の笑みを噛み殺すのに必死だったに違いない。

2月18日(土)、キャンプ中盤第4クールの宜野座で、オリックス・バファローズとの練習試合が行われた。実戦は今キャンプ3試合目となるが、前日の練習で右手首を痛めたルーキー伊藤隼太外野手は、スタメンから初めて外れていた。

翌日には、今季初のオープン戦が控えていた。若手にとっては、3月上旬頃までがアピールする絶好の機会。それ以降はチャンスをもらえる物理的な時間も段々減って行ってしまうため、この時期にひとまず『結果』を出しておきたいところだ。そういう思いが爆発したような試合展開となった。


大和 選手

口火を切ったのは、岡﨑太一捕手のバットだった。2回裏、敵失でチャンスが広がった二死1・3塁。昨季二桁勝利をマークして自信をつけたオリックス先発の西から、レフトスタンドへ運ぶ豪快な先制3ランを放つ。「甘い球が来たら行こう!と・・・チャンスだったので」。1ボール後、カウントを取りに来た2球目を逃さなかった。厳しい捕手争いに生き残りをかけた執念の一発だ。

「西はローテに入って来る投手。どれくらい行けるかと思ったけど・・・!」。和田豊監督の口元も思わず綻ぶ。今季、前評判が高いオリックスの主力クラスから3点を奪って打線が一気に勢い付いた。4回には、代わったサウスポーの伊原を容赦なく攻め立てる。九番を打つ上本博紀内野手がレフトへ満塁一掃の二塁打を放つなど4点追加しても手を緩めず、二番大和(前田大和)内野手はレフトポール際へ弾丸ライナーで2点本塁打!この回一挙6得点の猛攻となった。


上本博紀 選手

「ちゃんと振れたので良かった。右方向を意識しながら引っ張ることが出来た!」。このキャンプで打撃が一変しそうな手応えを確かに大和は感じている。昨季は寝かせて構えていたグリップを少し立てるフォームにモデルチェンジした事も影響しているのか?14日の練習試合(対広島・沖縄市)で三塁打、二塁打と長打2本の2打点をマークしたが、その時「ヒットエンドランでヒットを打ってから(打撃が)コンパクトになっている」と指揮官も目を細める。

その大和と若虎内野枠を争う上本も負けてはいない。続く5回にも2打席連続のタイムリー二塁打でこの試合5打点の荒稼ぎだ。2本共引っ張りの打球で、「打ったのは内角だが、とりあえず外角を打ちたい。試合での感覚がまだないので、それが欲しい!」と貪欲だ。昨季は一軍でグランドスラムを含む3本のアーチを放った上本だが、自らの目指すスタイルを考えると、それすら「あまり意味がない」らしい。

『小技の利くしぶとい巧打者』のイメージからすれば、練習試合初戦(12日・対北海道日本ハム 宜野座)の4三振は、内容的にも「簡単に三振し過ぎていたので・・・最悪の結果」だったと言う。先ずは開幕一軍を目標に掲げる今季だが、このキャンプでは課題の守備面で大きな収穫があった。第2クールで臨時コーチを務めた巨人黄金期の名遊撃手で早稲田大学の大先輩広岡達朗さん(80)の指導が、非常にシンプルで「正直分かりやすかった!」こと。新井貴らと延々ネットスローを繰り返して学んだあの日の教えが、今後の野球人生を支えるものとなるのかも知れない。


新井良太 選手

試合は、この後も新井良太内野手の2点本塁打などで着々と加点。投げては先発秋山以下、若手投手陣が安定した内容で、ルーキー伊藤和雄投手が喫した1失点だけに抑えた。若虎打線が打ちも打ったり17安打で、四番にコリアの大砲・李大浩を並べた岡田オリックスに18対1と大勝している。

2月19日(日)、この日からライバル巨人が第二次キャンプを行う沖縄セルラースタジアム那覇(那覇市奥武山町)に乗り込み、今季初のオープン戦。2リーグ分立後では初めてとなる2月開催のGT対決とあって、スタンドには16,264人が詰めかけた。


城島健司 選手

伝統の一戦には鳥谷、平野だけでなく、金本と城島のビッグネームがスタメンに名を連ねた。故障明けの二人が、2月のこの時期に『始動』するのは、極めて異例だ。しかも城島健司捕手は、ファーストでの参戦である。「18歳でプロに入ったような心境」でグラウンドに立ったジョーは、誰よりもフレッシュな気持ちで球を追ってみせた。「フライもゴロも来たし、そういうのを経験する為に出た訳だから・・・練習とかとは全然違う」。

昨季6月5日オリックス戦以来の実戦出場。ファーストを守るのは、実にホークス時代の2005年以来だ。左膝に二度メスを入れ、開幕マスクは諦めたが、「プロとして」一塁手に本気で取り組む日々。打つ方でも、5回の第2打席に巨人・西村から直球をセンター前へ返すヒットを記録している。「打つ方の結果は全然気にしていない。(打席で活きた球を)1球でも多く見られたら、それで十分」なのだが、・・・。


金本知憲 選手

一方の金本知憲外野手は、四番指名打者での出場も3打数ノーヒット1三振。先発で3回をパーフェクトに抑えた巨人期待の高卒2年目・宮國と西村が相手だったが、打席での存在感は健在だった。右肩の不安がなくなって、「打席に立てている事が仕上がっているという事」と指揮官が言う通り、この時期に試合に出ている事実が全てを物語る。「フォークをどんどん投げてきてくれて、ファールで粘れたのは、良い練習になった」。鉄人は、心地よく汗を拭った。

この日は巨人の若手投手に散発3安打と打線が奮わず、1対0のスコアで宿敵に敗れた。大勝した翌日に一転、完封負け。まだオープン戦とは言え、指揮官は厳しかった。「今日は、若い選手がよそ行きだった。・・・ほとんどスイングをさせてもらえなかったし、見逃し三振も多い。声を出すにしても遠慮がち」。これでは、超満員の甲子園で力を出すことが出来ない。雰囲気に飲み込まれた若虎へ苦言を呈した。

新人監督として初めての巨人戦は黒星だった。「オープン戦でも負けたら悔しい!1点を取る野球を徹底して行きたい」。沖縄キャンプも残り10日を切った。宿敵に敗れ闘志を新たにした若き指揮官は、あぶり出された課題克服を心に誓っていた。