エンタメ

コラム・ブログ

TOP > エンタメ > コラム・ブログ > トラ番担当記者コラム

TORABAN Tantou Kisha ColumnCOLUMN INDEX

Vol.2012-9 チャンスの神様


能見篤史 選手

一ヶ月に渡って行われた春季キャンプも終了。3月は実戦をこなしながら開幕に向けての調整の場となる。とはいえ、そんなマイペース調整が許されるのは主力、実績組の一部選手のみ。それ以外の選手たちは、かけられたふるいから落とされないよう、開幕一軍の座を巡るサバイバルレースに勝ち残らなければならない。

もっとも、投手、野手ともにチラホラと空席も見つかるのが今シーズンのタイガース。中でも投手陣、特に先発は能見篤史投手、岩田稔投手、ジェイソン・スタンリッジ投手、ランディ・メッセンジャー投手のローテ入りはほぼ確定だが、残る2枠は空席のままだ。


安藤優也 選手

若手では鶴直人投手(3試合10回3失点)、小嶋達也投手(3試合8回3失点)、秋山拓巳投手(1試合3回無失点・2月26日までの対外試合)がまずまずのピッチングを披露しているが、まだまだ横一線。今後は実戦で結果を残しつつ、個々の課題をクリアすることで、首脳陣の信頼を得ていくことが求められる。

ベテラン勢は今季実戦初登板だけで言うならば明暗が分かれた。22日の楽天戦(宜野座・練習試合)、先発したのは小林宏投手。FAで入団した昨シーズンは、42試合1勝5敗、防御率3.00、救援失敗も目立ち、不本意なシーズンとなった。今シーズンから先発に転向し、この日は3シーズンぶりの先発マウンドとなったが、3回4安打2四球の2失点。初回から連打、四球、自らの暴投で失点を許すなど、不安定さは拭えなかった。

一方、小林宏投手の後を受けて登板した安藤優也投手は2回1安打無失点。オフも連日のように鳴尾浜でトレーニングをこなし、また従来よりも右腕の位置を少し下げたフォームで最速144キロを記録するなど、復活を予感させる好投を見せた。ここ2シーズンは不本意な成績が続き、昨シーズンはプロ入り以来初の未勝利に終わっているだけに、今シーズンの巻き返しに期待がかかる。


榎田大樹 選手

もちろん、先発争いはこの5投手に限られたものではない。彼らが結果を残せなければ、先発、中継ぎ両にらみで調整している久保康友投手、榎田大樹投手が浮上してくるし、蕭一傑投手、清原大貴投手らファームスタート組にまでチャンスは広がってくる。『チャンスの神は前髪しかない』という諺の由来は、ギリシャ神話に出てくるカイロスという神の風貌が、前髪は長いが後頭部は禿げた姿であることからきている。つまり、チャンスはすぐに掴まなければ、後から掴むことができないということだ。もう少し噛み砕くと、チャンスが来てもそれに気付かなければ、チャンスを掴めない。まず必要なのはチャンスに気付くこと。そして普段からチャンスが来たらどうするかを考えておくことが、チャンスを掴むために最も大切なこと、つまり準備が大切だということを伝えている。

もっとも、選手たちは目の前にあるチャンスに気付いているし、それを掴むための準備もしてきた。あとはどう、いつ掴むか、つまり結果を残せるかにかかっている。ちなみにこの神様、現在、彼らの周りを走り回っている。若手が勢いに任せて捕まえるのか、それとも虎視眈々とベテランが捕まえるのか、はたまた伏兵がサクッと捕まえるのか。結果は神のみぞ知るである。