ファーム

ファームコラム

TOP > ファーム > ファームコラム

FARM JouhoukyokuCOLUMN INDEX

Vol.2011-1 好スタートを切ったファーム!続々と復帰する実力者と台頭する新戦力


蕭一傑 選手

東日本大震災の影響で一軍の開幕は4月12日に延期されたが、ウエスタン・リーグは3月15日に開幕し、タイガースファームも3月18日、対ソフトバンク戦(鳴尾浜球場)で今シーズンの初戦を迎えた。この3連戦を2勝1分けで乗り切ったタイガースは、3月に行われた公式戦を7勝2敗2分けと好スタートを切っていた。

今シーズン初戦のマウンドを任されて5回無失点だった蕭一傑投手は、3月24日の中日戦(ナゴヤドーム)でも和田、森野選手ら主力が名を連ねた中日打線を相手に5回無失点、二塁を踏ませない好投。「去年の鶴のように今年は中心。上で投げてもらわないといけないピッチャー」と中西ファーム投手コーチの期待も大きく、去年までと比べて「低いゾーンに(ボールを)集めることに自信を持ってきている。シュートも良くなってきた」と成長ぶりを認めた。一方、両試合ともストレートのMAXは140キロ。その数字以上にストレートは打ち難く、緩急やコントロールで勝負するタイプのピッチャーだが、中西コーチも「もう2~3キロ球速が欲しいところだな」と課題も忘れなかった。

春季キャンプから好調だった若竹竜士投手は4試合5イニングスを投げて9奪三振と状態の良さをキープ。三振を狙っている訳じゃないそうだが、中西コーチも「まっすぐはずっと来ている」と言うように、140キロ台中盤のストレートは威力十分だ。反面、カウントが悪いときにそのストレートに頼ってしまう傾向があり、昨シーズンもウイニングショットに苦しんだ。しかし今シーズンはストレートも変化球もしっかり腕を振って投げることを意識することで、スライダーとチェンジアップの威力が増し、その相乗効果で元々良かったストレートにも好影響をもたらしている。オープン戦途中まで一軍に帯同も、投手層の厚さに跳ね返された形だが、「(一軍投手陣の)レベルが高いんでそこに食い込めるよう頑張るだけです」と一軍へ向けての抱負を語った。


若竹竜士 選手

故障でファームスタートだった選手たちも続々と戦列復帰を果たしている。オフに右ヒジ手術を行った桜井広大選手は、31日の広島戦でインコースのスライダーを鳴尾浜のレフトネットに突き刺した。八木ファーム打撃コーチは「まだもう一息だけど、練習もできるようになってきているし、身体のキレも出てきてる」と完全復調まではあと一歩のようだが、状態は確実に良化しているようだ。


桜井広大 選手

同じく昨オフに右ヒジ手術を受けた杉山直久投手は、実戦の中でフォームを試している段階。31日の広島戦では2回をパーフェクト、MAX144キロを記録するなど、スピードも戻ってきた。以前からの課題であった前に体重移動ができて間が取れるフォームを色々試しており、「スピードも出てきたし、キレもそこそこ。感覚的には手術前よりいい感じです」と手応えありのようだ。

4月1日に鳴尾浜球場で行われたトータル阪神との交流試合では、安藤優也投手と西村憲投手が今シーズン実戦初登板。203日ぶりの実戦登板となった安藤投手は、1回を投げて4安打4失点。味方のまずい守備に足を引っ張られたが「マウンドに立てたからね。それがいちばん。投げられたことが大きな一歩」と安堵の表情。変化球や細かいコントロールには課題も残るが、徐々にギアを上げていけば問題ないだろう。


杉山直久 選手

右肩疲労でリハビリをしていた西村投手は、2番手で登板して1回1安打1失点。こちらもマウンドで投げられたことに対しては大きな一歩を踏み出したようだが、「(ボール自体は)まだまだ全然。全てのボールが納得いかない」と自身がイメージするボールにはまだまだのようで、「次、しっかり頑張ります」と巻き返しを期した。遠山育成コーチは「(両投手とも)投げられたという事実が大きい。まっすぐ自体の強さは出てきているので、あとはゲーム勘とか気持ちのモチベーションですね」と語り、安藤投手はイニングを増やしていくこと、西村投手は登板間隔を詰めることを次のステップとした。


藤井宏政 選手

東日本大震災の影響で一軍の開幕が延期されたことに伴い、この時期になっても一軍選手の調整出場が多い現在のファームだが、交流試合を次々に組んでルーキーや実績の少ない若手の実戦機会を確保している。この流れの中で育成枠3年目藤井宏政選手の活躍が目を引いた。育成枠ながら3月1日から一軍に合流し、オープン戦にも3試合出場。そのさい、和田打撃コーチからトップの位置を作ってから振れと指導され、「引きつけて打つようにしたら、結果としてボールを長く見られるようになった」と教育リーグや交流試合で結果を残し続けた。18日のソフトバンク戦では一番セカンドでスタメン出場。第一打席で相手先発の杉内投手の初球を捕えてセンターにはじき返し、先制点をお膳立て。翌19日に行われた紀州レンジャーズとの交流戦(上富田)では難しいインコースのボールをレフト芝生席に運び、「見事なホームランやった」と立石育成チーフコーチも絶賛の一打を放った。29日の交流試合(対紀州レンジャーズ・貴志川)で珍しくノーヒットに終わるも、「(上から叩こう叩こうとして)バットの軌道がもぐっている」という立石コーチからの指摘を受けると、31日の広島戦で3安打1打点と修正能力の高さも披露した。3月の公式戦は6試合に出場して18打数7安打、打率.389という好結果には「公式戦で数字が残るのは意識します。全然違いますね」と励みになっているようで、支配下選手登録を目指して今後もアピールを続けていきたい。

ここ数年、若手の底上げが命題だったタイガース。今シーズンから監督に就任した吉竹春樹ファーム監督も「みんなにチャンスを与えるので、常に準備をしておいてほしい」と語っており、交流試合ではファームの実績が少ない若手やルーキーたちがスタメン出場を果たすなど、積極的に若手にチャンスを与えている。そうした中でまずは藤井宏選手が頭角を現した。次に続く選手が現れることを期待したい。