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藤浪がプロ初となる完投勝利

打線の強力援護に支えられ、若き長身右腕がナゴヤドームで躍動した。

始まりは連日の速攻だ。阪神は初回 上本・左前安打&盗塁、大和・四球で1・2塁として3番 鳥谷が中日先発・雄太から右越えの6号3点本塁打を放ち、鮮やかに先手を取る。この1打で鳥谷は、阪神史上5人目となる10年連続100安打。雄太の出鼻を挫く貴重な一発に「打ったのはストレート。繋いで行こう!と打席に入ったが、たまたま本塁打になってくれた」と殊勲の鳥谷 敬内野手が振り返った。

味方からビッグボーナスをもらった阪神先発・藤浪は、初回を3者三振で滑り出す。3回裏は二死後 工藤・荒木の1・2番の連打に遭うが後続を抑えた。リズムよく安定した内容で5回まで3安打無失点とゲームを作って行く。

2回以降すっかりコントロールも整い、立ち直った中日・雄太だったが、投球数が100を超えた6回表 阪神は二死後ゴメス・四球、マートン・中前安打で1・2塁とチャンスを作り、スタメン6番7番に並んで入った新井兄弟の連続適時安打(兄・貴浩は中前、弟・新井良太内野手は左前)が飛び出して、貴重な2点を追加した。

打ったのは共にチェンジアップ!…「次の1点を早く取りたいと思っていたので、良いところで打てて良かった!」。新井貴浩内野手が言えば、「とにかく食らいついていこうと思っていた!」と弟・新井良太内野手も息のあったコメントを残している。

6回裏 藤浪は荒木にこの試合初めての四球を与え、危険な兆候が見えたが、4番 和田の痛烈な当たりをショート鳥谷が超美技で救って窮地を脱する。

7回には一死1・2塁からの鳥谷・投ゴロに併殺を焦った中日2番手・伊藤準の悪送球で追加点が入るや、マートン・新井貴の連続適時長短打もあって、阪神が8対0とリードを広げて安全圏に入った。その前に中日・雄太は6回132球を投げて7安打4三振2四球5失点で降板。「1回が全てだった」と唇を噛んでいる。。

後は藤浪のプロ初完封が焦点となったが、その裏一死1塁に走者を背負って高橋周の一ゴロをゴメスが後逸する失策…藤浪には不運な形で中日に1点を許してしまう。 8回裏には一死1・2塁で和田の右飛を処理した俊介がアウトカウントを間違えて返球を怠る間に走者の進塁を許す場面もあったが、今後の為ここは猛省を促したい。

藤浪は9回裏、高橋周の打球を腹部に受ける(投ゴロ)も最後は武山を空振り三振に仕留めて、自己最多143球13三振で2四球1失点(自責点0)の今季7勝目は堂々たるプロ初完投勝利。8対1で阪神が快勝を飾った。

待望の完投勝利に「素直に嬉しい!」と喜ぶ2年目・藤浪晋太郎投手。ヒーローインタビューでは、「前回不甲斐ない形で終盤マウンドを降りたので…初回は慎重にやり過ぎず、丁度良い感じで投げる事が出来た。リリースが安定していたのと(体重移動も上手くいって)しっかり前で打者との距離を詰めて投げる事が出来たのが良かった。『あと1人』『あと1球』コールには特別なものがあった!」と話した。


「今日は安定していた。ゆったり投げて、且つテンポも良かった。限りなく完封に近い完投だ!」。粘り強い攻撃とも相俟って理想的に運んだ会心の勝利に和田 豊監督も会見中、終始えびす顔だった。