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TORABAN Tantou Kisha ColumnCOLUMN INDEX

Vol.2012-12 『春眠』の虎が目覚めた!2年連続開幕へ・・・エースに死角なし


クレイグ・ブラゼル 選手

花冷えの空から一筋の陽光が差し込んだ。やっと、猛虎が目を覚ました。開幕まで10日余り。チームは、いよいよ最終準備段階を迎える。

3月18日(日)、公式戦開幕まで、あと2週間を切っていた。西武ドームでのオープン戦。チーム打率最下位に沈む打線が、獅子のルーキー右腕に突如牙を剥いた。0対0で迎えた4回表一死後、埼玉西武先発の十亀に対して、4番新井貴以下、城島~ブラゼル~林~小宮山と長短5連打を浴びせるなど、打者一巡7安打で一挙6点の猛攻!16日のQVCマリンフィールド(対千葉ロッテ・6回表の4得点)に続くビッグイニングに『つながる打線』のイメージが出来上がりつつあることを感じさせた。

集中攻撃がモノを言って、終盤、西武の反撃を3点に凌ぎ、6対3で久し振りの勝利。オープン戦の連敗を4で止め、最下位も脱出した。(3月18日現在 13試合4勝8敗1分 勝率.333 OP戦8位)

「ジョーが、あそこ(先制の左中間二塁打)で穴をこじ開けた!・・・新井がきっかけを作った訳だけど、軸になって行く選手が、先陣を切ってくれるとね!」。和田 豊監督は、心から安堵していた。『これで本番は何とかなる!』という手応えを掴んだ試合だったのかも知れない。

前日までは、不安要素ばかりが渦巻いていた。オープン戦とは言え、一向に調子が上がらない打線。新井貴の低打率(16日まで.083)も手伝って、城島、ブラゼル、マートン、鳥谷・・・4番だけ見ても様々な組合せを試したが、どれもしっくり嵌まらない状態が続き、16日までのチーム打率はわずかに.183と12球団で唯一の1割り台と奮わない。


柴田講平 選手

さらには、16日の試合でマット・マートン外野手が左太もも裏を痛め、緊急離脱。(後に『左太もも裏筋挫傷』と判明)打線のキーマンを欠いたまま、公式戦直前の調整を進めて行かねばならなくなった。ただでさえ、ポジションが2つ3つ決まらない中で首脳陣にとっては難しい舵取りを強いられる。

外野争いは、柴田の復帰でさらに激化だ。昨年秋季キャンプの状態から、センターの『本命』と目されていた柴田講平外野手は、1月の沖縄自主トレ中に左肩痛を訴え、緊急帰阪。診断は『左肩鎖関節の炎症』で、安芸キャンプ組として別メニューの調整に耐えて来た。「半年、一年かかるかも知れない」不安があったというが、リハビリテーションから段階をしっかり踏んで、『勝負の舞台』に帰って来た。16日の千葉ロッテ戦に先発・2番レフトで一軍復帰。2打数ノーヒットだったが、2度の送りバントを決めて役割をしっかりこなしている。

この日の埼玉西武戦では、4回猛攻仕上げの右翼線三塁打を放ち、2打点を稼いだ。「1、2打席目が悪すぎたので、気持ちを切り替えてリセットして立てた!」。スーパールーキー十亀のスライダーを見事捉え、柴田は自慢の快足も披露してみせた。ここまでセンターのポジション争いを一歩リードして来た大和を脅かす最強のライバル登場!「大和と競わせる」と明言した指揮官も、故障という修羅場を潜って来た男の根性に期待している。


小宮山慎二 選手

ポジション争いでは、ブラゼルと城島が火花を散らすファーストも注目だ。こちらは、お互い競うように打ち捲っている。城島健司選手は、オープン戦打率.407。クレイグ・ブラゼル内野手も、負けじと18日まで4試合連続安打を放っている。ブラゼルはレフトの守備に何度も就き、シーズンでの起用も有力なオプションの一つである事は明らかである。

左膝、右肘故障の影響で、城島が当分の間捕手に復帰出来ない事が明らかになったのが、宜野座キャンプ序盤。そして、藤井彰が『左腹斜筋筋挫傷』でリタイアしたのが、最終日だった。風雲急を告げた開幕捕手争いは岡崎、清水、小宮山の三つ巴で展開。なかなか決め手のない中、ここに来て小宮山慎二捕手が2試合連続マルチ安打を放って一歩リードしたように見える。

ただし、リハビリを終えた藤井彰人捕手が、18日の教育リーグ(対福岡ソフトバンク 鳴尾浜)で先発出場し、20日の高松(レクザムスタジアム)から一軍オープン戦に合流する。「意外にすんなり入れた!もう時間がないので、早く感覚を取り戻したい」と語り、開幕マスクに意欲を見せる藤井彰に、若手が待った!をかける事が出来るのか?優勝に直結する扇の要のポジションだけに、和田監督の判断がチームの命運を分けそうである。


能見篤史 選手

不確定要素が多い野手に比べ、概ね順調に来ていると言えるのが、投手陣だ。(久保らのインフルエンザは気がかりだが)先発ローテーションもほぼ固まり、小林宏や榎田も昨季と同じ中継ぎで落ち着きそうだ。抑えの藤川も、オープン戦では色んな変化球を試すなど、余裕の調整を続けている。

2年連続開幕投手が濃厚な能見篤史投手は、先発した16日の千葉ロッテ戦(QVCマリンフィールド)で、5回を投げて4安打1失点。新球カットボールを試すなど、シーズンへの駆け引きも匂わせる内容十分の投球だった。この日のテーマは、「真っ直ぐでファウルを取ること」。変化球主体だった前回10日の北海道日本ハム戦(甲子園)から一転して、直球中心の組み立てで、テンポも良かった。

「まだまだこれから」と言うが、全く危なげはない。公式戦前の登板は、おそらくあと1回だが、「これからいよいよ!というか、気が引き締まる!」エースはポーカーフェイスの裏で激しく闘志を燃やしている。首脳陣からの信頼感は、もう揺らぎようがないだろう。開幕前日の予告先発を待つまでもなく、間もなく頃合いを見て指揮官が発表すると思われる。

2012年のシーズンは、すぐそこまで来ている。全てが順調とは言えないが、それは覚悟の上だったはず。新しい指揮官の下、新しい猛虎の歴史が始まる。記念すべき栄光の1ページを私達みんなで見守って行きたい。