- 2017.3.11
- 1番手は梅野
東日本大震災から6年。西武とのオープン戦が行われた甲子園には半旗が掲げられ、試合前には両チームのベンチ前に首脳陣と選手が整列して黙祷を捧げました。東北福祉大学出身の金本知憲監督は、「学生時代を過ごした場所。忘れることはありません」と神妙な面持ちで語っています。
試合は初回、いきなり動きました。「1番・左翼」で先発の高山俊外野手が、西武先発・高橋光から先頭打者本塁打。2球目の真っすぐを、右翼席へと運びます。この日の高山は、続く第2、第3打席は三振に倒れたものの、六回に左前打、八回には右前打を放ち、5打数3安打。開幕に向けて、バットで猛アピールしました。
前日10日には、指揮官から「右方向に強く、ポイントを前にしてしっかり叩く。タイミングを早く取り、トップを早く作る」とマンツーマンで打撃指導。さっそく結果を出した高山に、金本監督は「今までになくタイミングを早く取って、彼の中ではいいカウントだった」と成果を認め、その上で「欲を言えば、ボールもう1個前。もう1ランク上を目指してほしい」と注文しました。
六回には盗塁も記録。「今年はどんどん走ってもらう。走れる選手になってほしい」。昨季新人王の2年目に、指揮官は大きな期待を寄せています。
先発のマウンドに上がったのは、開幕投手候補のランディ・メッセンジャー投手。登板前日には「低めに投げること」をテーマに掲げていましたが、制球が定まらず、苦しい投球に。5回を投げて2被弾を含む7安打4失点と、不安を残しました。
「ボールが高めに行ったし、思っていたところに行かなかった。昨日言っていたこととすべて逆になった」というメッセンジャーですが、「直せること。こういう日もあると捉えている」と前向き。金本監督も「心配は心配だけど、あのクラスなら開幕に合わせてくる。修正ポイントもわかっているだろうし」と話し、実績ある右腕への信頼は揺らぎません。
メッセンジャーの女房役を務めたのは、開幕マスクを狙う梅野隆太郎捕手。三回には、昨季の盗塁王・金子侑の二盗を阻止し、強肩を披露しました。金本監督は「メッセは元々クイックができるし、今年はクイックをうるさく言ってきたけど、あれは梅野のナイスプレー」と評価。「打つほうでは今一つだけど、波があるからね。キャッチャーは、何はともあれ守り」と、守備力の安定を求めます。
梅野、岡崎、坂本、原口で正捕手争いをしていましたが、原口が一塁にコンバートされ、坂本は死球による右手親指の骨折で戦線離脱。1番手は梅野か?の報道陣の問いに、指揮官は「そうなってくるのかな」と方向性を示唆しました。
試合は、1点を追う九回、上本のこの日3本目の安打と原口の左前打でチャンスを作ると、二死一、二塁で大山の三ゴロを渡辺直がトンネル。2者がホームに還り、6−5で阪神が逆転サヨナラ勝ちしています。